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探究レポート

キャリア教育 事例

教職員のチャレンジが学生のチャレンジを後押しする!大学が先導する新たな就活の形とは?

近年、企業が学生に対して期待する“資質”として「主体性」をあげることがよくあります。一方で、問題視されているのは、進む学生の「受け身」志向。

「単位をとるのが難しくても、自分の興味のある授業」よりも「あまり興味がなくても、単位を楽にとれる授業」をとる学生の方が多いという状況で、社会人を輩出していく機関として、今後どのような育成をしていけばいいのでしょうか?

本日は、日本で一番活気がある短大として注目を浴びている戸板女子短期大学様とご一緒させて頂いた自己PRチャレンジプログラムを振り返りながら、今後、大学に求められる姿勢を考えていきたいと思います。

キャリアセンター 主任 田熊祥則さん

大学を卒業した後、某アパレル業界のセレクトショップに入社。その後、キャリアの転機を迎え「キャリアカウンセラー(JCDA)」の資格を取得し社会人や学生のキャリア支援に従事。四大での就職支援経験を経て、現在の戸板女子短期大学 キャリアセンターにて学生の就職支援、インターンシップ制度の構築、学内イベントの企画運営などを行なっている。

自己PRチャレンジプログラムとは?

学生自身が企業に向けて自らをアピールするという新しい就活のカタチ。
学内選考を通った30名が、約3ヶ月間の育成プログラムを受講し、参画企業30社に対して自分の強みをプレゼンする。今年度は、2019年12月17日(火)に開催した。

プレゼンテーションに強い戸板

―まずはじめに、戸板女子短期大学の学校の特徴について教えてください。

学校の特徴としては、四大と専門学校の間にある短大という位置付けの中で、各学科におけるモデルコースを用意していることが1番にあります。

高校生の実態を調べてみると、将来の進路に悩んでいる学生が多数いることがわかりました。そのため、悩みながらでも着実にステップアップできるようにと、女子学生が興味あるであろうコースを複数設置して、入学から半年間は自由にそれらのコースを受講してもらい、学生自身が納得のいく進路選択ができるように環境を整えています。

また、専門学校ではできない基礎教養の教育に力を入れることで、専門知識と基礎教養の両方を持ち合わせた自律して活躍できる女性を輩出することを目的にしている短大です。

―キャリア支援についてはどのように力を入れていますか?

キャリア支援に関しては、1学年500人という小規模だからこそできる1対1のキャリア支援が特徴です。

2年間の内、全学生とも必ず5回のキャリア面談をします。また、学生一人ひとりの生活カルテを作成しており、学内ネットワーク上で全ての教職員が確認できるようにしています。キャリアセンターに関わらず、保健室や学生部など、どの場所でどういう相談をして、どんな学生生活を送っているかを一貫して見られるようなカルテです。

そのため、全教職員が学生のこれまでの経緯をわかった上でサポートができますし、学生にとっても安心の学校環境をつくっています。このきめ細やかなサポートは、戸板ならではの特徴ですね。

―チャレンジプログラムの企画背景について改めて教えてください。

大学のブランディングを考えたとき、何に特化した大学なのかを打ち出さないと学生は集まらないですし、また人材を社会に輩出する機関であるという観点から学生を教育していくことが使命だと考えています。

そうしたときに、戸板の特色として打ち出したのが「プレゼンテーション力」だったんです。今、企業や社会が求めているのは、受け身とかではなくて、自分から自主的に行動して、発想して、考えて、大事なことや想いを伝えられる学生です。
そういう女性をどう輩出していくかを考えたときに「プレゼンテーションに強い戸板」としてブランディングしようと、ここ何年かで決まりました。

入学して最初の取っ掛かりとしては、1年生全員参加の産学連携型プロジェクトがあるのですが、それだけで終わらせてしまうのはもったいないない!ということで、この自己PRチャレンジプログラムが始まりました。

就活の新たな形、自分から自分の良さを売り込む就活として、モデル例になったらいいなと思っています。

あくまでも学生の成長を支援することが前提

―弊社としては自己理解とプレゼン力強化を支援致しましたが、いかがだったでしょうか?

そうですね、今回のプログラムはたしかに就活を見据えての自己PRプレゼンではあったのですが、あくまでも内定を得ることが目的ではなく、社会に出て「自分はどうあるべきか?何を求められているのか?自分の良さは?」等を突きつけられたときに、自信を持って対峙できるようになってもらいたいという想いの上で実施しています。

ここに対して学生達も感じ取ってくれて、本気で自己理解を深め、自分の力をつけようとしていた姿は嬉しかったですね。このプログラムは、学生達の未来につながるなと確信しました。

また、Original Pointさんも学生の気持ちや学びを第一優先に考えてくれたことが嬉しかったです。事前の計画があっても、状況に合わせて常に臨機応変にやってくれたり、職員の期待していることを形に変えて応えてくれたり。信頼できるパートナーを見つけたなと思いました。

―ありがとうございます。弊社も嬉しく思います…!企業様からの反響や手応えはいかがでしたか?

ご参画頂いた企業さんからは、「学生さんにとっても企業にとっても有意義な時間」「自己表現が上手で社会に出て活躍していけそうな学生が多かった」などというお声を頂いております。

加えて、最近の傾向でいくと、短大の採用を増やそうとしている企業さんが増えてきていて、訪問すると非常に期待の言葉をいただきます。

大学進学率50%以上の全入時代の中で、短大や専門学校に進学する学生は、高校卒業の時点である程度自分の将来に対して“覚悟”を決めていると思います。だからこそ、将来に対しても在学中から真剣に考えていますし、就職した後もちょっとやそっと嫌なことがあっても、自分の意志で決めたから、もう少し頑張ってみようと踏み留まる人の方が多い。

離職防止が喫緊の課題となる中で、そんなところに企業さんも気付き始めてきているみたいです。

これからの大学のあり方

―大学職員として、今後の就活に対するお考えを教えてください。

就活の早期化やルール廃止とあるように、どんどん基準や垣根が無くなってきていますよね。それによって、“いい人材をいかに早く採用するか”という部分だけフォーカスされすぎてしまっている気がしています。

でも大事なのは、縁あって入社した新入社員をどう育てて、キャリアアップさせていくかだと思っています。採用後の教育に力を入れないと、いくらいい人材を獲得しても、手からこぼれ落ちていってしまっては負のスパイラルですし、社会に出て実感として学ぶ「働くことの意味」や「やりがい」「楽しさ」を感じることができない社会になってしまうと思うんですよね。

それは、社会に輩出できるよう学生を育てた私達としても虚しいことです。大学の先にある社会・会社組織の中で、一人ひとりが輝いていけるにはどうしたらいいかという視点の人事制度を少しずつ構築していってほしいですね。

人材育成もセットで新卒採用を考えていくことが必要だと思っています。

―今後、キャリア支援という文脈として、個人としてないし大学として仕掛けていきたいことがあれば教えてください。

最近、文科省も離職率に注目し始めて、卒業後離職した学生が何%いるのかを大学と企業が連携して数字を出していくことに強化し始めているんですね。

そうすると、大学は学生の卒業後を追うことができるので、卒業後のサポートもできるようになってくる、というか必須になってくると思います。会社の上司や同僚などには相談できないことは母校に相談する。そんな風な形で、OGのキャリア支援もできる体制を構築できるいいなと考えています。

卒業後、何かあったら学校に帰る。そんな、いつになっても帰れる大学を目指したいですね。

インタビュー後記

今回お話を伺った田熊さんもですが、戸板女子短期大学の職員の方々は毎年のように様々な新しい施策に挑戦し、より良い教育を届けられるように動いていらっしゃいます。

そんな教職員の歩みを止めないチャレンジがあるからこそ、学生もチャレンジする好循環が生まれているのではないでしょうか?

主体性のある人材を輩出していく前に、大学や教職員の姿勢そのものは主体的なのか?

弊社にとっても、この戸板女子短期大学様との出会いは、非常に気付きをいただくものでありました。改めてありがとうございました。

村岡 瑞妃

村岡 瑞妃

Mizuki Muraoka

大学卒業後、1年間東京都の小学校教員として担任を務める。その後、エン・ジャパン(株)に転職し企業の採用支援や評価・教育研修サービスの提案営業を行う。現在は、Original Pointへ参画し、大学キャリア教育や新卒採用領域の事業推進に携わっている。

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