Report

探究レポート

内定者・新卒即戦力化 事例

研修内製化と外部委託の線を引く!組織のMissionを土台とした人が育つ仕組みづくりへの挑戦

「人が育つ組織をつくるには?」企業の経営者・人事担当者であれば、常に向き合っているテーマではないでしょうか…

本日は、認定NPO法人カタリバの鶴賀さんと、100名超の規模へ急成長する組織にて起こる、人・組織の課題とその課題に対する向き合い方について、一緒に考えていければと思います。

ビジネスセクターで解決できない社会課題と向き合うNPO法人ならではの組織の作り方、研修に対する捉え方や、内製と外部の使い分けは、企業人事においても活かせることが多くあるように感じました。

事業が多角化した背景にあった東日本大震災

ーまずはカタリバとして取り組んでいる事業について教えてください

2001年に、高校生へ対話を大切にするプログラムを提供することを目的に立ち上がったNPO団体です。

まだキャリア教育が主流になっていない時代から、高校生向けに高校生の身近なサンプルである大学生と対話する機会を提供し、設立から10年程は10名前後で事業をしていましが、2011年の東日本大震災を転機に、事業を多角化していきました。

ーなぜ、東日本大震災が転機に?

復興支援が行われる中で、子供たちの食べ物や着る物はあっても、友達と安心して話せる居場所がないということが見えてきました。

そこで、「子供たちの未来をつくるための支援をしたい」という想いから、これまで培った対話と斜めの関係を築くノウハウを活かして、居場所づくりや学習支援をはじめました。

現在では「意欲と創造性を全ての10代へ」というコアコンピタンスを軸に、全国9拠点で、課題解決を行っています。

ー100人規模へと成長しているNPOは稀有な存在ですよね…人材育成に注力しようと考えた背景を教えてください

阪神大震災のあった1995年はボランディア元年と言われるよう、市民が法人格を取得し、Mission・Visionを大切に活動するNPOが生まれたのは、1998年のNPO法の成立からです。

そこから20年経過した今、NPOにおいても組織を安定運営させるだけではなく、成果が求められてくる。だからこそ、「NPOで働きたい」という人がより必要になってくると考えています。

そのためには、自ら意志を持って成長していける環境づくりや、NPOに属する個々が専門性を高めていくことが重要だと感じていて、カタリバ内においても1on1や評価の仕組み化、研修を通じた学習機会の提供をはじめたのもそのような背景があります。

100人規模に成長する過程では、放っておくと文化が薄れてしまいますし、キャリアパスに悩む人材も増えてきますからね…

人材育成を推進する中で感じた手応えと課題

ー評価制度、1on1、研修等 取り組みはじめての変化や手応えはありましたか?

評価に関してお話しをしますと、組織が20~30人規模の頃は互いの顔も見えやすいので納得感はあったんですよね。しかし、より規模が大きくなると「なんでこの評価なの?」という不満が必ず起きてしまいます。

例えば、子供の意欲を高めるコミュニケーションを評価するのって難しいですよね。何が良くて、何を改善するべきは、マネジャーとメンバー間でのすり合わせは常に必要になります。

だからこそ、半年に1度の評価MTGに加えて、フィードバッックを通じた成長を促すMTGを定期的に行うことで、適切な評価と成長を促す仕組みを導入しました。そして、その仕組みを運用できるための学習機会、評価や育成への悩みを解消する機会として、マネジャー研修も企画しました。

ただ正直、変化や手応えをどう測るかは難問ですね…

ーそうですよね。ただ、短期成果が見えにくいからこそ、現場の声を汲みとり組織の状況に合わせて試行錯誤していることがカタリバさんの素敵なところだと感じます。

本質的な組織課題を解決するには、内部の人間と外部の人間がそれぞれの役割を担って試行錯誤する必要がある。研修企画においても、外部に丸投げしてうまくいくイメージなんて全く湧かないですね。

現場の声を汲み取りながら、パートナーの外部と一緒に創りあげていくことが大切ですよね。そういう意味で、制度をつくったタイミングで一緒にマネジャー研修を企画できたことはよかったなと思っています。

マネジャーならではの悩みを素直に吐露できるのも、外部の方が場をつくるからこそですよね。内向きになりがちな我々に対して、外部の観点から世の中一般的なマネジャーに求められることをレクチャーいただき、それをテーマに対話できたことは人事施策を動かすにあたって価値になったと感じています。

Mission・Visionの落とし込みに手を抜かない

ー今年の4月も20名の職員受け入れにあたり、Misson・Visionの落とし込みに2日間使われる等、方針の落とし込みは徹底されていますね。

我々としては「いい組織を創ること」を目的とせずに、「Mission・Visionを実現すること」を念頭において活動することを心がけています。

「組織全体で考えよう!」と言うと、経営の責任放棄とも思われがちですが、組織の一人ひとりが「Mission・Visionを実現すること」を念頭において身の回りの1mを変える行動しないと、社会課題の解決は難しいです。

昨年、オフィスをリノベーションしたことも、そういったカタリバの姿勢を社内外に発信して文化をつくる狙いもあります。

ー最後に、今後どんな組織づくりをしていきたいか、我々に期待することがあれば教えてください

Original Pointさんは音楽性が合っているなと思います。NPO法人への理解は勿論、働いている人たちへの配慮やリスペクト、教育やカタリバのことが好きそうだなと感じています。

大切な社員の人材育成を、共に推進する外部パートナーとは、相思相愛でいることが大事であると思っています。組織は生き物だからこそ、そのリズムに合わせて、今後も一緒にパートナーシップを組んでいきたいですね!

ー編集後記

Mission・Visionを実現するための試行錯誤を一人ひとりが考える文化があるからこそ、人・組織づくりを外部任せにしないスタンスが生まれているのだと感じています。

マネジャー研修にオブザーブされていた代表と現場マネジャーの信頼関係が垣間見える対話が行われていたのも、それぞれの立場で日々Mission・Visionを実現するための行動を考えているからこそだと思います。

行政や民間だけではリーチできない社会課題に真摯に向き合う集団。勿論、綺麗事ばかりではないと思いますが、これからの進化が楽しみですね。

高橋 政成

高橋 政成

Masanari Takahashi

大学を卒業後、人事コンサルティング会社(株)シェイクへ入社。研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。その後、既存事業と兼務で、大学向け教育の新規事業を立ち上げ。2016年、大学・採用・組織開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point株式会社を設立。

Contact