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人財開発だけではなく、組織開発へと支援領域を広げる理由とは?~(株)メック・ヒューマンリソース~

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企業において、階層別研修のような人を対象とした人財開発は当たり前のように行われています。

しかしながら、1日や2日間程の研修のみで、人ひいては組織にポジティブな変化をもたらすのは容易ではありません。

本日は、組織を対象とした“組織開発”という領域で以前案件をご一緒させていただいた(株)メック・ヒューマンリソースの竹内様と田渕様と「組織開発」について対話を深めていければと思います。

株式会社メック・ヒューマンリソース様 プロフィール

三菱地所グループで唯一の人事専門集団として、人事的な側面からグループ各社と一体となって幅広くサポートを行っている。※写真の左側が田渕様、右側が竹内様

組織開発領域に支援領域を広げる背景とは

ー貴社では、これまでの人財開発サービスに加えて、組織開発を専門とする事業を立ち上げていくとお伺いしましたが…その背景をお教えいただけますか?

田渕氏:ひとつに、研修という手法のみでは解決できない問題が増えてきていることが挙げられます。

例えば、「社員同士のコミュニケーションが取れていない」という課題に対して、コミュニケーション研修を実施しても課題解決には繋がらないことが多い。

本質をたどっていくと、組織体制や制度、組織風土に問題があり、個人を対象にした研修手法のみでは、限界が生じてしまうということです。

ーなるほど…研修という手法の限界ですね。竹内さんも同じような感覚をお持ちでしょうか?

竹内氏:2013年頃より「人事の観点から、もっと三菱地所グループの企業を支援できる領域があるのでは?」という議論を重ねてきました。

その際に、今後の方針として新卒採用と組織開発領域での支援を事業化していくことを定めました。

研修事業に20年間携わってきましたが、「受講した内容を数ヶ月すると忘れている」、「必ずしも業務パフォーマンス向上に寄与していない」、「個人の気づきや学びが企業全体の競争力強化に反映されにくい」と感じることが多々あり、組織のパフォーマンスの最大化を図るには、組織そのものにアプローチする必要があると強く感じています。

そもそも、組織開発とは?

ー研修以外の選択肢も必要であると感じたということですね。お二方の中では組織開発というものをどのように捉えていらっしゃいますか?

田渕氏:様々な捉え方があるので難しいのですが、経営目標を達成していくために人や組織が自律的に活性化することを促す取り組みだと感じています。

竹内氏:人と組織の可能性・才能を引出し育むことで、組織のパフォーマンスを最大化すること。その為に、ありとあらゆる手段を用いて個と組織に働きかけていくことだと感じています。

ー組織に焦点をあてることと、組織単位での変化を生み出す施策を実施するイメージですね。実際、組織開発を推進していくにあたって、どのようなことを大切にしていきたいですか?

田渕氏:組織開発の重要性を経営トップの方々にご理解頂き、その取り組みにコミットいただくこと、また、同時に組織開発を推進していくメンバーを増やしていくことでしょうか。

人や組織が自律的に活性化していくことを促すことが組織開発の目的だと考えていますので、黙っていても組織開発的な取り組みを能動的に行うことができるメンバーが必要だと感じています。

また、能力的な部分で言えば、「人や組織を活性化させるために、どこのツボを押せば良いのか?本質的な問題点をあぶり出す勘所」も必要だと思います。

竹内氏:私は5つのことを大切にしていきたいと考えています。

1,組織開発といっても手法は様々あるため適切なツールを駆使していくこと
2,組織で起きていることの全体像を把握すること
3,現場が困っている「渇ききったタイミング」で介入すること
4,会社なりの「強い組織」を定義すること
5,人事部門だけではなく、経営がコミットすること

ー組織開発に対する経営や人事のコミットは勿論大切ですが、会社なりの「強い組織」を定義する部分は、どの単位で考えるかも含めて容易ではなさそうですね。

竹内氏:経営レベル、事業単位、チーム単位など、それぞれのレベル感で『勝ちの定義』を設定し共有することが大事なのかなと。絶対解は無いと思うので自分達の仕事の意義を踏まえた上で、何処でどのように勝つのか。

「働き方改革」もそうですが、なぜ働き方を変えるのか、何を目的にどのような目標(To Be)を目指して働き方を変えるのかという認識共有が無いまま、施策を展開しているケースが散見されます。

組織開発もTo Beがはっきりしていない単発の施策だと、担当者の自己満足、参加者の一時的な満足感のみで終わってしまうのではないでしょうか。

組織開発を推進したことで得たものは?

ー田渕様とは過去、組織開発というテーマで案件をご一緒させていただきましたが、振り返ってみていかがでしょうか?

田渕氏:研修という切り口で、組織開発のエッセンスを取り入れたアプローチができたことがよかったですね。

人事部の方々も、大上段に振りかぶって「組織開発に取り組んでいきましょう」と言われても、ピンとこない部分がありますから。「研修」という切り口の方が、導入しやすいかもしれません。

実施した手応えとしては、働いている社員の方々から、それなりの反響を得ることもできましたし、部署を超えた社員同士の交流が現場に戻った後に起きていたので、組織を動かした感覚はあります。

反省点としては、経営者や人事の方と継続的な取り組みに繋げていくところまでは至らなかったことですね。

ー継続的な施策の必要性を感じていただくには、我々の提供価値を高めていくことは勿論、経営者・人事・現場の方々にもその必要性を実感いただくことが大切ですね。

田渕氏:そもそも組織開発というものが理解しにくい概念だと思いますので、分かりやすく解説された図書や、そのプロセスを体験型のセミナーなどで、組織開発の必要性を分かりやすく理解できるアプローチは必要だと思います。

理想としては、外部支援が無くても、現場のマネジャー等が日常の中で組織開発的なアプローチが取れるようになることが一番だと思います。

これからの人事サービスに求められること

これまでの話と重なる部分もありますが、今後、「研修」や「人事コンサルティング」といったサービスを提供する人材系企業に求められることは何だとお考えですか?

竹内氏:我々、HR担当者向けに組織開発に関する体系的な教育機会を提供して頂けるとありがたいです。メディア等で注目される著名な人事担当者の方は、外資系企業での経験や海外の大学で「組織開発」「組織心理学」等を学んでいますからね。

あとはその会社が売りたい商品(研修・手法)だけを売っている会社も非常に多いです。経営に関する人事上の課題について、一緒に知恵出ししてくれたり、推進にあたって良きアドバイザーになってくれるような、我々人事の真のパートナーになって頂けると心強いのですが。

田渕氏:経営目標を達成するために「人や組織に対してどのようなアプローチが必要なのか?」というところから提案頂くと良いかもしれません。

ともすると、何でも研修で解決しようとしてしまうことにもなってしまいますから。

ー最後に、今後組織開発を推進されようとしている人事の方へメッセージをお願い致します

田渕氏:組織開発的なアプローチを図る場合、ともすると逆風が吹くこともろうかと思います。そのような状況の中でも組織開発を推進していくには、推進者として確たる信念を持っていることが必要ですし、また、その想いに賛同してくれる仲間、サポートしてくれるネットワークが必要だと感じています。

我々も、これからまさに組織開発の推進に力を入れていくところですので、ネットワークを築きながら共に頑張っていければと考えています。

竹内氏:私もまだまだ組織開発について勉強中の身ですが、現場のビジネス(事業)を理解し、組織としての成果創出に向けて経営と現場と対話をしながら、組織開発に取り組んでいきたいと考えています。

同じ人事担当として、知見を深めながら実践を通じて、組織内における人事部の提供価値を高めていけたらと思います。

インタビュー後記

組織や人の課題解決や成長支援において、「研修」だけが万能なサービスだけではないということを改めて実感致しました。

研修は一つの課題解決のツールであって、それが全てになってしまうと、課題の本質を見失いがちになってしまいます。

様々な企業に携わる中で、成長している組織には「完璧な研修制度」があるのではなく、「組織特有の強みとなる風土」があることを感じます。我々のようなサービス提供会社も新ためてどんなサービスが価値になるのか真剣に向き合っていきたいなと感じました。

高橋政成
大学を卒業後、人事コンサルティング会社(株)シェイクへ入社。研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。その後、既存事業と兼務で、大学向け教育の新規事業を立ち上げ。2016年、大学・採用・組織開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point株式会社を設立。
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