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大学2年生からの学部選択!? 東京経済大学が新たに取り組むキャリア教育の実践からみえてきたこと

大学入学の際、自らが学びたいことを学ぶことのできる学部を選択する、が正しい考え方ではありますが、現実問題、全ての学生が学びたい学問を明確にした上で大学入学している訳ではありません。

東京経済大学では2017年より、キャリアデザインプログラムという、4年間のキャリア教育を前提に大学2年生から学部選択を可能とする仕組みを取り入れています。

本日は、複数のキャリアプログラムを一緒に企画させていただいている北山先生と、東京経済大学のキャリアデザインプログラム実践からみえてきたことを踏まえ、これからの大学キャリア教育について考えていきたいと思います。

大学2年生からの学部選択がもたらすもの

―キャリアデザインプログラムの取り組みとその手応えを教えて下さい

2017年度から始まったキャリアデザインプログラム(CDP)は、4年間のキャリア教育と大学2年生から学部所属を決定する特色あるプログラムです。

10数年前に開設された「21世紀教養プログラム」以来の新たな学部横断型の履修プログラムです。

50人という限られた人数で、社会科学を幅広く学び、社会に出てからも学び続ける力、将来やりたいことにチャレンジしていく力を身につけることができます。

―1年次に各学部の入門科目を横断的に学んだ上で学部選択できるのは、学生本人の学習意欲の向上にもつながりそうですね

仰る通りですね。事実、1期生50人のうち、大学入学時の第一希望を変更した学生が約半数いました。

実際に入学して授業を受けてみると、「学びたいことと違った」「思った以上に楽しかった」等と、いろんな反応があることを実感しました。

世の中一般的には、ミスマッチによる転部・転科は一定数起きていますからね。そういう意味でも、学びたいことがまだ定まっていない学生にフィットするプログラムだと感じています。

―一緒に企画させていただいてますキャリア塾で、CDP学生に何人かお会いしましたが、内省力と発信力の高さを感じました

※キャリア塾とは、キャリアに興味を持つ学生を対象に、手上げ式で行われるキャリアプログラム

週に2コマある少人数のキャリアワークショップでは、学生自身がアクティブに「聞く」「考える」「発言する」時間を作っていますからね。

その辺りの慣れもあると思いますし、キャリア塾に参加する学生は、CDPの中でも特に意欲的な学生が集まっているからかもしれません。

キャリア教育への問題意識と、これから目指すもの

―キャリア教育に携わる中での問題意識を教えて下さい

社会人に求められる力を育んでいくという観点でいけば、思考力の部分に問題意識を持っています。

発信力は磨かれてきていると思いますが、考え抜く力はまだまだ足りていないように感じます。

過去、実施いただいたビジネスシミュレーション(仕事を体験するワークショップ)においても、顧客への提案内容が、アイデア勝負で思いつきの企画になっていましたよね。

―企業の新人研修でも同様の課題に直面します。最適解を導くための思考力はまだまだ磨けるように感じます。

結局、大学の単位は、S・A・B・Cどの評価であっても同じ2単位はもらえますよね。

ただ、ビジネスにおいては、Sという高い評価のアウトプットをつくった会社のみが選ばれるのが現実だと思います。

そうしたときに、より高い評価を目指して考え抜くことへの動機を刺激することや、そのための方法論をしっかりと学んでもらう必要があると考えています。

そのためにも、「大学教員がやること」と「外部に依頼すること」をうまく切り分けてキャリア教育を組み立てていくことが大切だと思いますね。

―大学と企業の連携の必要性は弊社も同様に感じています。ちなみに、外部に依頼するメリットをどのような点で感じていらっしゃいますか?

我々のような「教員」と「学生」の距離感と、外部である犬尾さんのような「講師」と「学生」の距離感の違いが一つのメリットだと思います。

我々「教員」では伝わらないことが、「講師」だからこそ伝わることがあるように感じています。

ビジネスシミュレーションでは、「顧客役」と「学生」というアウェイの距離感から学ぶことが多くあったように思います。

あとは、コンテンツ設計も企業研修のノウハウが活かされていて真似できないものだと感じました。

就職後の活躍を見据えた教育を

―本日はありがとうございました。最後に、弊社と協働して取り組んだら価値になるのではないか、と思われることがあれば教えて下さい

企業研修のノウハウやトレンドを活かしながら、プログラム提供いただきたいですね。我々が持っていないノウハウと掛け合わせていきたいです。

就職に必要なことはキャリアセンターが担えるので、企業で活躍するという観点を目指して引き続きご一緒にプログラムをつくっていければと考えています。

―編集後記

企業への就職においてのリアリティギャップが起きるように、大学においてもリアリティギャップは起きるものです。

大学入学にあたって「自分が学びたいこと」以外に、「偏差値」という指標が優先されることもあるからこそ、大学での学びへのモチベーションが高まらない学生も少なくありません。

大学入学をゴールにせず、大学での「学びたい」を醸成するきっかけをつくる仕組みとして、大学2年生からの学部選択やキャリア教育による社会との接点づくりは、今後より一層欠かせないものとなるでしょう…

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