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時流を捉えて自社に活かす!新卒採用のこれからを考える。

新卒採用フォーラム2022にて、「リアリティギャップを是正し、早期戦力化を見据えた採用手法を伝授 ―東経大・小山先生と調査から紐解く!採用広報動画の仕掛け方とは?―」をタイトルとした講演を行いました。

当日は、東京経済大学 小山准教授をお招きし、産学連携調査からわかったリアリティギャップと早期戦力化の関係性を解説していただきましたが、本レポートでは、セミナーのスピンオフ企画として、小山准教授との対談をお届けいたします。

当日時間の関係でお伝えしきれなかった「ジョブシャドウイング「マイテーマ」について、より詳しい話をお聞きしましたので、ぜひご覧ください。

昨今、新卒採用においては、ジョブ型採用orメンバーシップ型採用と二元論的に語られがちですが、欧米のやり方をそのまま受け入れること、日本特有の新卒一括採用をこのまま継続すること、このどちらにも違和感を抱いている方には必見の内容になっているかと思います。

※ジョブシャドウイングとは
ジョブシャドウイングとは、観察者が働く社会人の仕事の様子を1日観察、質問することでキャリア観を育むキャリア開発の一つの手法です。(日本で馴染みのある言葉でいうと「社長の鞄持ち」のような取り組みです。)ジョブシャドウイングでは、社員の1日の仕事に密着し、個人作業、会議、商談、ランチといったあらゆるシーンに影のように付き添います。その中で、質問と対話を繰り返すことで、その仕事において必要なマインドや考え方、企業文化に対する理解を深めることが可能です。

ジョブシャドウイングの効果とは?

高橋:まずは、大学生向けに取り組むジョブシャドウイングと効果を教えてください。

小山:東京経済大学では、以前からジョブシャドウイング・プログラムを実施していましたが、今回コロナ禍ということもあって、初めてオンラインでのジョブシャドウイングにOriginal Pointさんと一緒に挑戦させていただきました。端的に言えば、予想以上に学習効果が高かったと感じています。

※今回実施したオンラインジョブシャドウイングの全体像(対面実施の場合は、仕事の観察と社員との対話は同時に行われる)

具体的には、対面・オンライン双方のジョブシャドウイングに言えることですが、学生が正社員として働く人たちのモチベーションや実際の働き方を学べる絶好の機会だということです。ジョブシャドウイングと似ているものとして、職場体験やインターンシップがありますが、これらは「経験学習」なので自分が仕事をすることに集中してしまいます。そのため、実は、社員の内面(モチベーション等)をあまり学べないという状態が起こってしまっています。

一方、ジョブシャドウイングは「観察学習」なので、観察や質問を通して社員の内面を知っていくことができます。内面を知ることによって、学生は「そうやって前向きに働くことができるんだ!じゃあ、自分はどうやって自分らしく前向きにキャリアを築いていこうか?」と、自分事として考えることができるようになります。ジョブシャドウイングでは、この学習効果が非常に高いと感じています。

高橋:そういう意味では、採用と育成の一体化が求められている昨今において、ジョブシャドウイングを採用フローに取り入れるのも意義がありそうですね。

小山:そうですね。採用の段階から候補者のキャリア観を育成していくことは、本人にとっても勿論ですが、前向きに働こうとしている新人が入社してくることになるので、会社全体にとっても好影響だと思います。また、ジョブシャドウイング動画をオンラインで配信すれば、地方学生も含めたより多くの学生に見てもらうことができるので、ジョブシャドウイングにおいても対面とオンラインを状況に合わせて活用することは、今後大いに有り得るのではないでしょうか。

高橋:ちなみに、小山先生が採用担当者だったら、ジョブシャドウイング動画をどのように活用しますか?

小山:いわゆる、風土・文化・トーンと言われるようなハイコンテクストの情報を伝えるのにジョブシャドウイング動画は有効だと思います。こういったものは、暗黙知なので、会社説明会や新卒採用HPで伝えるのは難しい。個別具体的な仕事内容よりも、会社に入ってからどういう価値観を学んでほしいか?、どういうふうに仕事に向かっていってほしいか?、という抽象的なことを応募者や内定者に共有していくときに活用するといいかもしれません。

キャリア自律と会社の発展の統合を目指すには?

高橋:「ポジティブ・フレーム(現状に対する前向きな意味づけ)」が講演の中で出たと思いますが、内定者時代から始める今の世代にあったキャリア支援のポイントはどんなところですか?

小山:キャリア自律、つまり、主体的にキャリアを形成していくことは、変化の激しい時代だからこそ重要だと思います。ただこれは、一歩間違えれば、独りよがりのキャリアデザインになりがちなので注意しなければなりません。自分らしいキャリア形成と会社からの期待をすり合わせるのが重要です。

もし、Original Pointさんが提唱している「マイテーマ」と「わがままテーマ」を分けるとしたら、マイテーマは、自分が価値を置いているのはもちろん、会社にとっても、ひいては社会にとっても価値があるものだと言うことができます。

※マイテーマとは「“現在”の興味から探究したい問い」の意味で、逆算型で考えるビジョンとは異なり、積み上げ型で時代や組織ニーズ、興味の変化に合わせてアップデートするキャリアの指針

 

高橋:個人としてだけでなく、組織の一員であることも踏まえてマイテーマを設定するのが重要ですね。

小山:はい。そのためには、抽象度の高いマイテーマを設定することが大切になります。あまり具体的すぎると、ジョブ型ではない日本企業において、自分のマイテーマと合わない可能性が出てきてしまいます。

加えて、変化が激しい環境を前提としたときに、内定段階で10年後の仕事を明確にイメージすることは不可能です。そんな時代においても、抽象度の高いマイテーマであれば、環境や業務内容に囚われず、マイテーマ探究をすることができます。

人事や上司の方々には、内定者の興味を引き出しながら、抽象度の高いマイテーマを設定する支援をしてほしいですね。

これからの新卒採用の理想の姿とは?

高橋:最後に、今後の新卒採用について、組織マネジメントやキャリア心理学を専門とされている小山先生から見て、「もっとこうなったらいいな」と考える部分があれば教えてください。

小山:中長期的な視点からお話させていただきます。

まず、これからの日本社会を考えると、大学進学率はどんどん上がっていくでしょう。そうした中で、今の総合職や事務職・技術職のような大括りの採用は限界が来るだろうと考えます。

大学ではそれなりに専門性を学ぶことになるので、採用後にイチから指導していくという育成方法から変えていく必要がありますよね。

ここでもう一つ考えたいのが、よく聞く“人事畑”とか“営業畑”という言葉が意味するところです。

高橋:たしかに、「私はずっと人事畑でやってきました」なんて聞きますね。

小山:そう、この“畑”は、いわゆる“コース”なんですね。つまり、“人事畑”とは、入社後、人事部門(職能)に配属されて、ずっと人事関連の業務をやってきたことを意味しています。このように、実は日本企業は、総合職採用と言いながら、入社後はコース別の人事管理をしている会社が多く、その人の専門性も最初に配属された部門で決まることが多いです。
そうであるなら、採用でもコース別をするのが私は自然だと考えています。

「配属ガチャ」なんて言葉もありますが、学生側も大学時代に勉強してきた専門性を活かせるかどうか、特に理系であれば大学院に進学する学生さんも多いので、時間的にも経済的にも教育に多くの投資をした分、非常に不安な訳です。

コース別採用はジョブ型ほど硬直的なマネジメントは必要無いですし、入社後に関してはもともとコース別管理をしているケースが多いのですから、「①学生の不安を取り除く」「②採用後のソフトランディング」「③入社後の成長」「④専門スキルの獲得」これらを総合して考えると、コース別採用が1つの解として私はあり得ると思います。

更に言えば、こういうコースに乗っかるような人材を育てていくために、大学教育も変えていきながら進めていくのがいいのではないでしょうか。日本のこれからを担う人材を大切に育て活躍していってもらうために、そんな産学連携の仕組みができるといいですね。

これからの新卒採用をアップデートするために

高度経済成長期・・・数えれば、今から半世紀以上前に日本の新卒採用と社内育成の仕組みは出来上がり、現在も大きな枠組み変えることなく継続されています。

しかし、小山先生のお話にもあったように、大学進学率の上昇やオンラインツールの広がり、若手のキャリア観の変化等、様々な要因を踏まえれば、半世紀以上前の枠組みのまま維持し続けるほうが不可能であるということは容易に想像できます。とはいえ、これまでの文脈を無視して欧米型を取り入れるのも無理があります。

弊社では、これからの未来を担う人材、そして組織の可能性をひらいていきたいという想いのもと、サービス提供させて頂いております。

これまでのアプローチを踏まえながら時代に合わせてアップデートすることで、より多くの人が前向きに仕事を捉え活躍し、組織全体も活力に満ちていくようになることが私達の願いです。

企業(同業の方も含め)や大学の皆様、もし少しでもご興味持って頂けましたら、これからの採用・キャリア開発の在り方について、ぜひ情報交換や議論をさせていただけますと幸いです。

講演では、小山先生と協働で行った調査結果やジョブシャドウイング動画の具体的な構成、内定者フォローについても触れておりますので、より理解を深めたい方はそちらもご視聴くださいませ。

→動画はこちら

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