大学キャリア教育変革に挑む。Original Point(株)代表が語る創業の背景とは?代表インタビュー#1
父の言葉「お前のやりたいことはなんだ?」から始まった、大学キャリア教育の探究
Q. 大学のキャリア教育事業に取り組むきっかけを教えてください。
学生時代、「やりたいことがわからない」という悩みを抱えていたことが、私の起業の原点です。
「お前のやりたいことはなんだ?」
航空会社の技術者として自分の“やりたいこと”を仕事にしていた父に、進路を決める節目に問われた言葉は、今でも忘れられません。この経験がきっかけの一つとなり、大学時代、研究テーマが自由だった不思議なゼミで「大学キャリア教育」に出会い、問題意識が深まりました。
ちなみに、ゼミの先生の専門は農学でした(笑)。
Q. 学生時代にキャリア教育との出会いがあったんですね。
卒業論文を書いていた2010年は、大学キャリア教育が全国の大学で義務化された節目の年でした。
「ケーキ屋さんになりたい小学生はいるけど、コンサルタントになりたい小学生は見たことがない…」
ゼミと就活に奔走する中で、私が導き出した結論はこれでした。
そもそも人は、将来の選択肢を知らないと本当に自分に合ったものを選べない。日常の生活で触れることのない“将来の選択肢”を知る機会が増えれば、それだけ人の可能性が広がるのでは?そんなことを考えました。
Q.確かに、学生時代に知ることができる職業って偏りがありますよね。
そうですね。だからこそ、様々なビジネスの現場を知り、将来の選択肢を提示できる社会人が教壇に立つべきだと考えるようになりました。
実は、当時、教職課程も履修していたんです。でも、将来の選択肢を自分自身が知らない状態で教育の道に進んでも、「価値を発揮できないのでは…」と感じ、教員の道を迷わず断つことにしました。
そして、様々な業界を俯瞰的に見ながら、人や組織の成長に関わる知識と経験を積める人事コンサルタントの道を選んだんです。
大学キャリア教育の真価を感じた、人事コンサルタントとしてのファーストキャリア
Q.人事コンサルタントの経験は、今の事業にどのような影響を与えていますか?
人事コンサルタントとして、さまざまな企業の組織・人材育成に携わる中で、入社前に将来の仕事について真剣に向き合うことの重要性を痛感しました。
私が入社した会社は、業界問わず多種多様な企業の成長支援を行う会社で、研修コンテンツの開発、コンサル営業、採用、マーケティングなど、本当に幅広い業務に携わっていたのですが、携わっていたのですが、人材育成に触れる中で感じたのは、入社当初の熱い思いを失っていく若手の姿でした。
新入社員研修では「こんなことを実現したいんです!」と目を輝かせていた彼らが、1年後に再会すると「この会社では自分の理想を実現するのは無理そうです」と諦めたような表情になっているのを何度も見ました。
Q.いわゆる“配属ガチャ”と言われるやつですね。
一部上場企業や就職希望ランキング上位の常連企業でも、同様な状況を目の当たりにしました。
主体性を持って前向きに働くこと。これって入社後のアプローチで変化することもあるのですが、本来は入社前にできるといいのにな…という想いは強くなりましたね。
「世の中にどんな選択肢があるのか?」
「自分が何者であり、どうありたいか?」
「そもそも働くとは何か?」
入社前に“働く”と向き合う機会があれば、入社後のパフォーマンスは大きく変わるのでは?と日に日に強く感じるようになりました。
僕自身が、大学キャリア教育事業に取り組む覚悟を持てたのは、この社会人生活への準備期間の4年間にアプローチすることで、学生の潜在能力を最大限に引き出せると確信したからですね。
原点と未来を繋ぐOriginal Pointの3つの事業とは
Q. Original Point(株)の事業について教えてください
Original Pointの社名は、原点”origine”に立ち返ることが大切だという考えに基づいており、自分自身の原点とその先の明るい未来を繋げることで、人がイキイキと活躍できる社会の実現を目指しています。
事業としては、「学ぶ」と「働く」の架け橋となる機会を提供する「大学キャリア教育事業」、「働くリアル」を伝え次世代の未来を創造する「新卒採用支援事業」、そして次世代のキャリア形成を支える「キャリア開発事業」の3つの柱で展開しています。
さらに、大学と提携して産学キャリア研究所を設立し、優秀なビジネスパーソンが学生時代に積んだ経験、リアリティギャップを乗り越える若手の特徴、職場におけるサポート体制など、日本の組織風土におけるファーストキャリア支援に繋がる研究を行い、その研究成果を人事向けメディア等で発信しています。
Q.3つの事業と研究によって成り立っているんですね。
3つの事業領域(大学キャリア教育、新卒採用支援、キャリア開発)の相互作用こそが、Original Pointの強みです。
「働くリアル」を熟知しているからこそ、学生のニーズに即した本質的なキャリア教育を展開できる。そして、Z世代である大学生と日々接しているからこそ、新卒採用支援や入社後の人材育成にノウハウを還元できる。
この強みを活かし、新たに再定義したMission「可能性を、ひらこう」のもと、大学キャリア教育の現場を起点に、これからの次世代をつくる教育事業を広げていきたいと考えています。
Q.最後にこのインタビューを読んでいる方へメッセージをお願いします
正直、格好つけて語っておりますが・・・まあ、綺麗事だけではうまくいかないのが教育事業だと思っています。
実際、大学キャリア教育市場は13億円規模と、ビジネスとしての可能性は極めて低いのが現状です。そんな市場で起業するのは、ある意味博打のようなものですし、ここまで、ここまで無理矢理コトを起こし、道を切り拓いてきました。
このインタビューだけでは語りきれませんが、これまでの小さな積み重ねによって、より大きな挑戦をするために必要な、質の高い教育コンテンツとリソースが集まってきています。
まだまだ未完成な組織ですし、経営者としてはポンコツなのですが、想いを持って一緒にMissionを形にできる仲間と出会えることを楽しみにしています。