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TOP-探究レポート-就活支援だけを目的としないキャリアサポートプログラムの効果とこれからのキャリア支援

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就活支援だけを目的としないキャリアサポートプログラムの効果とこれからのキャリア支援

成城大学で、10年以上継続しているキャリアサポートプログラム。

本質的な教育価値を追求する中で、弊社では2015年度から、プログラムの構築から当日の運営までをご一緒しております。

本日は、キャリアセンターの代市様との対話から、「これからのキャリア支援のカタチ」について探っていきます。

これまでのキャリア支援について

ー成城大学キャリアセンターとして、これまでどのような経緯でキャリアサポートプログラムを創ってきたのか教えていただけますでしょうか?

まだ「キャリアセンター」が存在しておらず、「就職部」という組織だった平成18年度、キャリアサポートプログラムが立ち上がり、10年が経過しました。

そもそもの発端は、平成17年度に当時の担当者が、着任当初に実施されていた「今後の進路を考える」というテーマのプログラムの中で、違和感を覚えたことからキャリアサポートプログラムが創られたそうです。

当時実施されていたプログラムの内容の一つは、事前に受診した「職業適性検査」の結果を配付して解説するというものでした。

そのプログラムの中で、返却された診断結果に一喜一憂している学生を目の当たりにしたその担当者は、「学生が自らの進路を広い視野で考えることができる、もっと別のプログラムを提供することはできないだろうか…。」

と考え始めたのが、新たなキャリアサポートプログラムを立ち上げるきっかけだったようです。

―確かに診断結果は進路選択の一要素でしかないので、唯一の指標になってしまうと違和感がありますね。そこから、どんな考えを基にプログラムを立ち上げられたのですか?

成城学園創立者である澤柳政太郎先生の考えに、児童・生徒・学生それぞれが備えている内在的な「天分」を伸ばし、個性の花を開かせることを教育の理想とするというものがあります。

現代の言葉に置き換えるのであれば、形式的に決められた指標でキャリア形成を支援するのではなく、個々に天から分け与えられたものを伸ばしていくことこそが、自分らしいキャリア形成につながるということです。

この理想を実現させるためのプログラムを模索した結果、「自分を知ること」「他者を知ること」「社会を知ること」をテーマとして、大学初年時から学生自身が「気付き」や「意味付け」ができ、また、学びを得られるプログラムを実施することとなったようです。

当時の現場では、このような「キャリアサポートプログラム」を職員が主導で実施していくということは極めて異例だったみたいですね。

ープログラムの中身としては、どんなことを実施していたんですか?

スタート時は、外部講師の方と職員がペアで進行していたと聞いています。

受講学生にはあえて決まった解を与えずに、「形式知と感覚知」「他者思考」「アナログ&デジタル」等々…複数のテーマについて、学生達にひたすら考えてもらう内容でした。

その時のテーマに対して、質問の投げかけやヒントを与えるなどのサポートはしつつも、すっきりして何かを持ち帰ってもらうことより、個々に様々なことを感じ、学び取ってもらうことを大切にしたプログラムを展開していたそうです。

その後は、このプログラムを卒業した先輩が、後輩の面倒を見るという形に変遷していきました。

その後も大きなテーマは変えずに、時代の流れとともに価値のあるプログラムを追求し続け、時流に合わせて流動的に内容を進化させてきたのが成城大学のキャリアサポートプログラムです。

ーそんな歴史あるキャリアサポートプログラムを一昨年からご一緒に構築・運営させていただいておりますね。

その頃から私も担当者として着任しておりましたが、当初の印象として、プログラムとしてはある程度確立されており、一種の完成系が見えている状態でした。

しかし、元々民間企業で働いていた私にとっては、このプログラムがある種閉じられた空間のようにも感じられ、社会のリアルな状況も含めた、もっと広い視野を持ってもらうことはできないかと考えていました。

自分の中での理想像を明確に描いてみても、中々うまくいかないことが多いのも社会のリアルだと思っていたからです。

そんな時に皆様とお会いし、お話をさせていただく中で、社会人の現状にも精通されていたのはもちろん、何よりも「人や教育の本質と向き合っている姿勢」が本学の教育理念に通じるところがあると感じ、プログラムの協働をお願いさせていただくことになりました。

我々は一般的な就活支援だけを実施している訳ではないため、根本的な考えが合わない方々との協働プログラムでは我々が目指しているキャリア教育が実現できないので、この点は非常に重要でした。

―ありがとうございます。では、ご一緒させていただいて感じる手応えを教えて頂けますでしょうか?

人材育成企業だからこそできる、様々な業界・企業に精通しているからこその視点から、社会のリアリティや現実の厳しさを含めてお伝えいただいていることに大変感謝しております。

また、毎回プログラム終了後に打ち合わせを実施し、我々の考えも踏まえて次回以降のプログラムを調整しながら実施いただけたことも良かったですね。

結果として、プログラム受講生が大学生活の別のフィールドで新たなチャレンジをしている様子も多く見ることができて、手応えを感じています。

これからのキャリア支援について

ー現在の学生とって「今」必要なキャリア支援とはどのようなものだとお考えですか?

まず、彼・彼女らとの信頼関係づくりは支援する前提として必要だと考えています。そもそもそれがないと、キャリア支援は成り立たないと考えていますので。

その上で、知りたいことの「解答」を安易に提供することはしていません。「本やニュース等、まずは自分なりに情報を集めたうえで、自分の考えを伝えてみて欲しい」ということを伝えています。

自分で調べて考えるということや、新たに取り入れた知識や経験を自分の意見として伝えるというプロセスを通じて支援を行っていくことで、「自ら気づいて学ぶ」という土台を育むことを大切にしています。

その土台さえ備わっていれば、自らキャリアを築いていく力がつくのではないかと考えています。

―本年度は「澤柳塾」と名称変更して、また新たなチャレンジがはじまりますね。

今回は学生の受講人数も多く様々な層が参加することが予想されますので、一種のチャレンジだと考えていますが、どのような結果になるにせよ、建学の精神に沿って、個々が現状の自分や将来に向き合う機会を提供していきたいです。

そして受講生には、どんな環境においても自分の意志に沿って行動できる、自分らしく生きる力を身につけてもらいたいです。

―最後にキャリアセンターとしてどのような役割を担っていくべきか、展望を教えて下さい。

将来的には、学園全体の学生・生徒のキャリア形成に寄与するための機関として、学園内の連携を強化し、一貫したキャリア支援を実現していきたいと考えています。

大学生への支援においては、一人ひとりが「キャリアについて考えたい」と思った時期に支援できることが重要だと思うので、低学年から個々に合った様々なメニューを選択できる状態を目指していきたいですね。

また、それぞれが描いた理想像の中で、自分に合った仕事選びができるような就活支援の機会を提供するのは当然のこととして、小手先のスキルを与えるのではなく、「自分の人生は自分で責任を持つ」という覚悟を持たせるような支援ができる状態を目指していければと考えています。

インタビュー後記

2015年度からキャリアサポートプログラムを協働して創ってきて、本年度からまた新たな形でプログラムを実施します。

高校生活から社会人生活への移行期にあたる大学生活の中で、将来を見据えて主体的に過ごしてもらうにはどのような機会や経験が必要なのか…。

これまで提供してきたプログラムを単に改善するだけではなく「そもそも、大学教育はどうあるべきか?」という本質から議論をはじめています。

この10年で大学内に広まったキャリア教育を、次のステージに向けて進化させていくために、大学生と向き合い、キャリア教育の本質を探究していければと思います。

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