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大学キャリア教育での「やりたいことを明確にしよう」は日本に合わない?

「やりたいことを明確にしよう」というプレッシャー

「夢を持とう!」「やりたいことを見つけよう!」

学生生活や社会人生活において、誰もは一度は言われたことがある言葉ではないでしょうか?私自身の学生時代も、技術者で好きなことを仕事にしている親父から「お前のやりたいことはなんだ?」とよく問われ、「うるさいなあ」と反発していたものです。

世の中の就活生も、面接官から志望動機を問われ「やりたいことなんてわからないよ」と感じている人もいるでしょう…「面接官のあなたは、やりたいこと明確なんですか?」と反発したくなる人もいるでしょう…

大学生と接する中で“やりたいことがない自分を卑下する学生”とお会いすることもあります。

大学キャリア教育で行われる「やりたいことを明確にすること」は本当に必要なのでしょうか?また「やりたいことがわからない」という悩みを持つ学生には、どのようなキャリア支援が必要なのでしょうか?

本日は、「やりたいこと」を切り口に大学キャリア教育について考えていきたいと思います。

新卒一括採用の日本で矛盾するメッセージ

大学でのキャリア教育や就職活動支援において、WILL(やりたいこと)-CAN(できること)-MUST(求められること)というフレームワークがよく使われています。

前職の人事コンサルティング時代でも、企業に提供していたキャリア研修でもこのフレームワークを活用していました。「3つの円が重なることをみつけていこう!」「1つ1つの円の幅を大きくしていこう!」というメッセージですね。

一方で、自分の「WILL(やりたいこと)-CAN(できること)」は明確であっても、多くの日本企業において「MUST(求められること)」は、入社して配属部署が決まるその日までわからないため、描いた「WILL(やりたいこと)-CAN(できること)」が叶わないかもしれません。

配属後に「自分のWILL(やりたいこと)-CAN(できること)」が芽生えたとしても、容易に希望部署に異動できる保証はありません。

新卒一括採用においては、幾つかの企業からすると、配属する部署や職種も決まっていないので「3年間死ぬ気で頑張ります!」という学生の方が採用しやすい側面もあります。

こう考えると、「自分のWILL(やりたいこと)」を就職前に描くことは適切なのか?という疑問も湧いていきます…

誰のための、何のためのキャリア教育?

厳しい雇用環境や離職率の問題から「職業的自立を図るために必要な能力を培うこと」が政府から大学へ求められ、2011年から大学でのキャリアガイダンスが義務化されました。

一方で蓋をあけてみると、キャリア教育のゴール設定は「やりたいことを明確にすること」をはじめ、「就職率を上げること」「生きる力を育むこと」「企業で活躍する力を育むこと」等、目指す方向性は大学によって様々な特色があります。

政府・学長・大学教員・大学職員、様々な立場の意図が入り混じる中で、誰のための、何のためのキャリア教育なのかが曖昧になっているように思います。

改めてキャリア教育におけるゴール設定は何が適切なのでしょうか?現状のアプローチは、どのような効果に結びついているのでしょうか?

少なくとも「やりたいことを明確にしよう!」と掲げるのであれば、そもそも社会にどんな選択肢を知る機会がないと、何をやりたいのか見当もつかないでしょう…また、きまりきった自己分析をやろうとしても、「内省力」がある程度備わっていないと深まらないですし、そもそも原体験となる経験なしに自己を分析し続けても簡単に明確にはなりません。

大学生に授業で接していると「働く=辛いもの」と捉えている方が想像以上に多く、将来について考えることに少し冷めているような気もします…時には、現状の施策のゴールや設定やアプローチ方法を見直してみるのもいいかもしれません。

※レポート発行のお知らせ「大学実態調査レポート」

キャリア教育の学びの主体者となる“大学生”の実態を調査し、現状の“キャリア教育”を見つめ直す論点を整理してみました。全国の大学1年生〜大学4年生496名を対象に本レポートは大きく2部構成にしております。

前半は「大学生活への学生の本音」として、大学進学理由や大学生活への満足度について調べました。後半は、「学生のキャリア観や就活への意識」として将来に対する考えや、インターンシップや就活において企業に求めることについて調べています。学生理解や現状の施策を見つめ直す参考情報としてご活用下さい

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