
企業内キャリア開発
バブル知らない世代vsバブル知っている世代〜18卒新入社員のキャリア観とは〜
18卒新入社員を職場に受け入れるにあたって
毎年新人研修の時期になると、うんざりするくらい『主体性が不足している』『相手視点がない』等といった声があがってきます。新人と一回りも二回りも年齢が離れた諸先輩方からすると「俺たちの時代は…」と違和感を感じるのは当然のことかもしれません。
ただ、それは新人も同じような違和感を感じています。
「自慢話を聞かされる飲み会の楽しさがわからない」「何も決まらない、進捗報告を読み上げる会議に時間を注ぐ意味がわからない」「上司が話したいことを話す面談の価値がわからない」等々、少なからず「あの上司苦手だわ〜」といった感覚を持っている新人も少なくありません。
こうした相互の感覚の違いは、育ってきた時代背景や環境が違うからこそ、起きてしまうのは仕方のないことだと思います。そして、この感覚の違いに対して、これまで培った価値観やルールを一方的に押し付けるだけでは新入社員は職場に順応することができません。
ある程度、個々の特性を理解し許容する、支援することも大切です。
本レポートは、相互理解を促し互いに歩みよっていただくことを目的に、新人のキャリア観にフォーカスして分析をしております。昨今の新人の特性を理解し、育成支援の方法を見直す参考に、またキャリア支援の方向性を考えるにあたっての材料となれば幸いです。
対象者:(株)シェイクが提供する新入社員研修受講者の一部 2,296名
調査期間:2018年4月2日 〜 2018年4月13日
調査方法 :研修終了後アンケート調査
18卒新入社員レポートサマリー
⑴8割を超える、石の上にも3年社員!?仕事に対する考え方はいたって堅実
[「石の上にも3年」やりたいくない仕事も続けることが大切 ] [必要な残業は積極的に取り組み、一人 前に成長したい]という回答が8割を超えており、仕事に対する考え方はいたって堅実な様子が伺える。
また、上記のように考えている新卒社員程、働く目的を[自分の持っている力を企業の発展に役立てるた め][仕事を通じて社会に貢献するため][職場において多くの人々と人間的なふれあいや対話を持つため] 等と考えており、自社内に貢献しようという欲求が高い
⑵5年後のキャリアプランを描く社員は5割程度
5年後のキャリアプランを明確に描いていると回答した人は5割程度にとどまっている。また、管理職志向が強い社員ほど、5年後のキャリアプランを明確に描いている傾向が強い
⑶管理職志向が強い社員は、業務外でのかかわりを求める傾向に
管理職志向が強い社員ほど、成長不安を感じていないことに加え、[飲みに連れて行くなど、業務外の時間 においてもかかわってほしい]と考えている社員が多いことがわかった
⑷キャリア支援を求める層は8割程度存在!中長期を見据えたキャリア支援を
[ 私の価値観やキャリアビジョン、ライフプランに関心を持ってほしい]等のキャリア支援に関連する項目 に、求めていると回答した層が8割程いた。つまり、自分のキャリアについて関心を持ち、成長への支援を求 めている新入社員が多いので、上司は一人一人の立場に立ってキャリア支援に取り組むことが大切である
⑸育児休暇を望む社員は7割を超える一方で、管理職へのブレーキが…
[子どもが生まれたら、育児休暇を取得したい]と考えている社員は7割を超える結果に。 一方で、育児休暇を取得したいと考えている社員ほど、[将来、管理職になり、チームをまとめる立場になり たい]と考えておらず、「育児休暇を取る=管理職にはなれない」という認識が伺える
40年間一社で働き続けるなんて、無理ゲーだろっ!上司や職場はどう向き合うか?
ある会社の新人研修では「40年間一社で働き続けるなんて、無理ゲーだろっ!」と発言している新入社員の方がおりました。
思わず共感してしまったのですが、多くの新入社員の方々のキャリア観は多様化しているでしょうし、個々に求めていることや欲しているアプローチは千差万別でしょう…
「俺たちの時代は…」「こうあるべきだ」といった、上司の論理を上から振り下ろす育成には限界があるようにも思います。
最後になりますが、本レポートを通じて、新入社員の理解促進や育成支援にあたっての参考になれば幸いです。
Masanari Takahashi
高橋 政成
大学を卒業後、人事コンサルティング会社(株)シェイクへ入社。研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。その後、既存事業と兼務で、大学向け教育の新規事業を立ち上げ。2016年、大学・採用・キャリア開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point株式会社を設立。