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「プールのない環境で、数ヶ月も泳ぎ方を教える意味はある?」 コロナによる新人研修の無力化とオンライン化による研修設計のポイントを考える

コロナの影響もあって弊社においても”新人研修”のオンライン化が加速したこの4月。おそらく「コロナが落ち着いたら、オフラインの研修に!」なんて未来にはもう戻らないのでしょう…

また、「”研修”1日減らしたとしても、現場でのパフォーマンスに影響がない…」といったように、昨年踏襲で実施してきた研修の是非を問い直す機会へと変化する可能性も大いにあるでしょう。

質の高いサービスがスクリーニングされる機会なので業界にとっては良い部分もあれば、オンラインという手法論ばかりに囚われて「そもそも、研修ってそんなに意味ある?」ということが曖昧なまま議論されていない部分には個人的な違和感を感じております…

本日は、オンラインでの新人研修の実践から、これからの研修の未来について考えていきたいと思います。

e-ラーニングもzoomによるオンライン研修も実践がないと意味がない

研修を提供する中で「プールのない環境で、数ヶ月も泳ぎ方を教える意味はある?」という問いについて何気なく話ておりました。が、結構大事な問いのように感じております。

現場での実践が伴わないの環境下で”知識” “ノウハウ” を詰め込む育成施策が受講者並びに組織にとって、どこまで価値があるのだろうかを、この1ヶ月ぐるぐるしております…

この4月の新人研修においては「e-ラーニング」「オンライン研修」という手法が着目され、学ぶ場は”研修ルーム”から、”空間的制約を受けない”という転換が起きています。

しかし、新人研修においては「知識習得」よりも「行動変容」を目的に企画されるケースも多く、単に「e-ラーニング」「オンライン研修」を推進したところで、得たい成果が得られるという訳ではありません。「わかる」と「できる」の壁は簡単ではないですし、それ乗り越えて「使いこなせる」という領域に達するまでは言わずもがな、ハードルが高いです。

新人研修においては現場未経験の方が多い中で「できるようになりたい!」という学習スタンスが整っている前提がありますが、他のテーマ別の研修においては「そもそも、わかっている!」という方が多いため、「わかる」へのフェーズへと転換するための「気づく」という前提を整えていく必要があり、ハードルは更に高くなります…ああ、大変だ…。

コロナによる”学びの変化”と”研修設計”

コロナの影響もあって経済全体が落ち込む中で、「研修に予算を投資しよう!」なんて経営者は限りなく少ないですよね…

最近でいえば、オンラインという手法論にばかり目が行きがちになって、そもそも行動変容をはじめとする期待する成果が曖昧な状態になっているケースも増えているように感じます。

研修のオンライン化は当たり前であり、議論されるべきは、その先にある「なんのために?」「どんな効果を狙って?」という論点でしょう…

また、オンライン化の中で、学びの場が”研修ルーム”という空間的制約が外れることによって、「研修ルームに滞在可能な短期的な日数で、無茶な行動変容の設計」が是正されていくでしょう。「1日で、マネジメントが劇的に変化する!」といった企画は淘汰されていくはずです。

 

「当たり前だろっ!」と突っ込みたくなる方も多いと思いますが、オンラインという手法論に目が行きがちな今だからこそ、行動変容を目指す研修設計のポイントを整理できればと思います。

1、集合フェーズにおいては、「その学習テーマが必要だということに”気づく”」「理論を”わかる”」ということを念頭に、マインドセットや目線合わせをどのように行うかを設計

2、実践フェーズにおいては、「できる」ということを念頭に、現場で受講者の方々が”共通”して取り組むことや効果測定方法を設計

3、個別フェーズにおいては、集合と実践を経て喉が渇いた受講者の学ぶ仕組みや、経験学習(内省)を促す個別のサポート方法を設計

特に、オンライン化が進んだ新入社員研修においては「インプット疲れ」が目立ってきた印象もあるため、グループでのプロジェクト実践等は、行動変容を促すにあたっては効果的だと実感しています。日数を埋めることが目的化した無駄な研修も削れるので「組織のお財布」にも優しいのではと感じています…

オフライン研修とオンラインで研修による違い

まだまだ見えていない前提がある中で、オフライン研修とオンライン研修による一番の違いは「”対話による内省”をどのように起こすのか?」というポイントが重要だと実感しています。

「講師 対 受講者」「受講者 対 受講者」においても、互いの思考や感情の機微にアンテナを立てていくことが空間的にもハードルが高まります。講師から「問いを投げる」行為や、受講者同士で「目線を合わせる余白」が削られてしまう等が代表的な例です。

だからといって「オンラインで実施をすると効果は半減」という訳ではありません。要所要所でポイントさえ押さえれば一定程度の手応えを感じることはできるかと思います。ここでは3つに絞ってポイントを共有します。

1、講義前の “受講者” と “講師”の不安の共有

「コロナの影響による漠然とした不安」「オンライン受講にあたっての不安」等は、講義前に吐き出すことをお勧め致します。単に”受講者”だけではなく、”講師”の感情も吐露しながら全体で場をつくるという前提をつくることができると、その後がスムーズかと思います。

加えて、「お部屋にあるお気に入りグッツの共有」等、オンラインだからこそできるアイスブレイク等も、心の距離を縮めるにあたってはお勧めです。

2、グループワークのポイントは「目的共有」と「可視化」

ブレークアウトセッションで、クラス全体を俯瞰することのハードルは高まります。だからこそ、グループワークで迷子にならないためにも「何のためのワークなのか?」という目的を握ることが大切です。加えて、メンバー同士で画面共有機能を活用しながらGoogleドキュメントやパワポ等に意見をまとめ「可視化」することもお勧めです。

3、内省を促すための「チャットによる共有」と「問い」

休憩前には「何に気づいたか(内省)」「どう活かすか(持論化)」といったことを整理する時間の確保や、印象に残った「気づき・学び」をチャットで共有するこで内省を促す時間を確保することが大切です。

また、休憩後に全体でチャットを眺めながら「問い」を投げることによって、クラス全体で学びを深める工夫をすることもお勧めです。

「オンライン化することによる研修効果」を懸念されるのは当然かと思いますが、「オンライン」という環境を活かした価値ある機械の提供を探求していければと思います。

研修での学び方が変われば、学ぶ内容も変化する?

コロナの影響によって、学び方のルールが変わる中で、おそらく “学ぶ内容”も変化していくでしょう。

新人研修で習う「丁寧なビジネス文章の書き方」よりも「チャットで即レス」することが求められるようになるかもしれません。「50代の講師が語る成功体験」に、新入社員はお行儀よく話を聞きながらも「いつの時代やねん!」とツイートしているかもしれません。

弊社においてもキャリア開発を起点にサービスを提供していますが、数年後の理想を描いて逆算するというキャリア開発は時代錯誤であって「数年後の理想を描いた、忘れ去られるアクションプランを描いて発表」みたいなアプローチは見直さられるといいなと思っています…

withコロナ時代において「研修の価値」そのものを問う機会でもあるからこそ「本質的なアプローチは何なのか?」研究や実践を通じて、多くの方々と探究できればと考えております。

※5月19日(火)14:00~15:30にてオンラインでのワークショップを開催します。テーマは、新人・若手のリアリティショックをどう支援していくか?というOJT×キャリア開発について考えていきます。この4月の取り組みをシェアしながら、本質的なアプローチを探究する機会になれば幸いです!

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