企業内キャリア開発
【キャリア開発3.0】管理職のマネジメントの鍵となる、Z世代向けのキャリア支援の3つのポイントとは?
個人と組織の関係性が変わる昨今、キャリア自律を推進していくにあたっては、個々への支援も必要になりますが、それを支援する管理職の役割の重要度が高まります。
一方で、「エース社員の離職」「エンゲージメントの低下」「世代間ギャップによる、若手社員との関係性の不和」等々、管理職によるマネジメントの難易度も年々高まっているように思います。こんな文章を書いている私自身も難しいというのが本音です…
本日は弊社で取り組む、昨今の若手社員を伸ばすための、管理職向けキャリア開発におけるポイントを解説していきたいと思います。
キャリアに対する考え方のギャップを埋める
キャリアという言葉や考え方に対する捉え方も年代によって様々です。大学で本格的にキャリア教育が設けられるようになったのが2010年頃。つまり昨今の20代は、なんらかキャリアを考えるということに学生時代から触れています。一方で、現在の管理職層の方々でいくとキャリア開発というものに触れたことがない方も多く存在します。
また、キャリア開発に対する考え方も、変化しています。
歴史を紐解いていくと、高度経済成長期の日本においては「終身雇用」という仕組みを前提に一括採用を行い、“組織主導型”でジョブローテーションによって個人のキャリア開発を進めていくことが主流でした。しかし、「終身雇用」という仕組みが限界に近づく昨今においては、組織と個人が対等な関係性の中で、“個人主導”で変化に合わせて自分をアップデートさせていく考え方が主流になりつつあります。
新卒社員においても、終身雇用で一社で働き続けるという価値観も薄れつつあり、転職前提での就活する学生も少なくありません。だからこそ、業務で成果を上げるための成長支援だけではなく、組織に所属すること・業務を前向きに意味づけするためのキャリア支援も必要になるのです。
キャリア開発の出発点は、キャリアの定義を知ることの他、異なる環境で育った若手世代のキャリア観の多様性に触れることがポイントです。
キャリア支援の中身を再定義する
キャリア支援という言葉を聞いてどのような支援をイメージされますか?
おそらくは、コーチング的なアプローチから、本人の将来意向を整理・具体化するような支援をイメージされる方が多いように思います。とはいえ、上司がキャリア観を語ることも、有効な支援の一つです。(中ジョッキを片手に、武勇伝を延々と語るは恐らくマイナスかと思いますが…苦笑)
弊社の調査『若手社会人の「キャリア意識」と「上司コミュニケーション」実態調査レポート』において、組織エンゲージメントが高く働く社員の上司がどのような支援をしているのかを分析しました。
その際、“業務の成果を出すための成長支援” ではなく”内的キャリア支援”の項目と若手社員のエンゲージメントにポジティブな相関がみられました。
その支援項目においては、「上司本人がキャリアについてどのような考えを持っているか説明してくれる」「上司本人が今の仕事にどのような意味を感じているか説明してくれる」といった語るという項目も含まれています。
・キャリア支援のゴールは将来像を明確にすることではない
・キャリア支援は、引き出すアプローチだけではない
といったキャリア支援に対する概念を正しく理解することも、管理職のキャリア開発においてはポイントです。
管理職本人へのキャリア開発
キャリア支援を行う前提には、本人がキャリア支援に対する意義を感じてもらう必要があります。
そもそもキャリア教育・開発を十分に受けてこなかった世代に対しては、本人としてその施策のメリットを実感することも大切です。自分の考えを整理した上で「自分について語って聞いてもらう」「考えを整理・具体化・引き出してもらう」「良質な助言をもらう」ということを体感することで、キャリア支援をメンバーに行う意義を感じてもらう設計もポイントになります。
キャリア開発における、自社のベストプラクティスは何か?
ここまで、管理職向けのキャリア開発のポイントを整理してきました。一方でお察しの通り、そんな簡単にはうまくいかないのが管理職向けのキャリア開発施策です…。施策を導入しても「理想の支援は理解できたが、実践するまでには時間がかかる…」「業務や制度の特性を考えると、ハードルがある…」といった声があるのも事実。
結局、組織の制度や業務特性、日頃の部下の方との関係構築の積み重ね、部下の方の特性によって施策の最適解も変わります。
だからこそ、管理職の方々本人に対しては、部署の特性・部下の傾向に合わせたキャリア支援の持論を再定義することが大切ですし、自社においては「業務での理想のコミュニケーション」「面談における支援内容」「制度設計」といった自社・自部署におけるベストプラクティスを探っていくことも大切です。
もっというと「そもそも自社においてキャリア開発施策って、なぜ必要なんだっけ?」という議論が大切なのかもしれません。
Masanari Takahashi
高橋 政成
大学を卒業後、人事コンサルティング会社(株)シェイクへ入社。研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。その後、既存事業と兼務で、大学向け教育の新規事業を立ち上げ。2016年、大学・採用・キャリア開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point株式会社を設立。