新卒採用支援 事例
Z世代に合わせた新卒採用を。1日密着動画を活用した採用広報とは? -1日密着動画でキャリアと向き合う機会を-
今回は、働く社員の1日密着動画制作でご一緒させていただいた(株)ワコール、人事部の難波様にインタビューしました。
ワコール様には2019年~2022年にかけて、会社内の複数の部門に1日密着動画を製作させていただきました。
本インタビューでは、人事部門で主に新卒採用を担当されている難波様と、新卒採用・配属において大切にされていることや、ジョブシャドウイング動画の活用方法や可能性について考えていきたいと思います。
新卒採⽤活動では、どんなことを⼤切にしていますか?
株式会社ワコール 人事部 キャリア・組織開発担当 難波 音々さん
「ミスマッチをなるべく起こさない」を徹底しています。
ワコールは女性も多く、ブランドイメージが先行して、キラキラしている企業と思われがちです。学生にとっても私たちにとっても大事なのは、「リアル」を知ってもらうことだと思っています。人や社風を知ってもらった上で、選考ステップに進んでほしいので、採用活動には人事だけではなく、あらゆる部署の社員にも関わってもらうようにしています。
また、企業が一方的に「学生を選ぶ」のでなく、わたしたちも同時に「選んでもらう」立場にいることを意識しています。
一次面接では課長クラスの社員が面接を担当しますが、その全員が、質問内容や話し方、面接官の言動が学生に与える印象の重要性をインプットした上で面接に臨んでいただいています。選考プロセスの学生も大事なお客様ですからね。
弊社への入社動機として、”仕事内容”だけでなく”人”に魅力を感じて入社を決断してくれた方が圧倒的に多いのは、私たち一人ひとりの、ちょっとした意識の積み重ねによるものだと思っています。
採用広報の文脈で、ジョブシャドウイング動画を取り入れていただいた背景について教えて下さい。
ワコールの新卒採用においてミスマッチを起こさないように大切にしていることの一つに、仕事・社風のリアルを多くの学生に知ってもらうことです。
そのリアルを知ってもらう手段として選んだのが、1日密着動画の制作です。
Original Pointさんの密着動画で素晴らしいなと思ったのは、ストーリーそのものが学生目線で丁寧に構成されていて、「学生だったらちょっとわかりづらいかな。補足が必要かな」というところに的確にテロップや解説が入っているところです。これは、御社が大学でのキャリア教育事業の中で、いつも講義を通じて学生と近い距離でコミュニケーションされていて、学生の実態やニーズを把握されているからこそ実現できることだと思います。
新卒採用において、動画の効果を感じることはありますか。
新卒採用に携わっている中で1日密着動画は、学生の皆さまによく見てもらえているなと感じています。採用活動の中で「動画に登場していた先輩社員だ!」と、なることも多く、社員と学生の距離を縮める効果も感じています。
また、今回新卒採用向けに動画制作をしてもらいましたが、これらの動画はキャリア採用向けコンテンツとしても機能するなと感じています。
動画制作で特にこだわったポイントはありますか?
私たちワコールは、「高い感性と品質で、ひとりひとりのからだとこころに、美しさと豊かさを提供し、『世界のワコールグループ』として進化・成長する」ことを中長期的に目指す、「VISION 2030」を掲げています。
今回、1日密着動画の制作をお願いしたのは、社内の主要部門である3つの部門でした。以前から、それぞれの部門の役割や魅力が、伝わりにくいことに課題を感じていました。
例えば、MD(マーチャンダイザー)は、いわゆる花形の職種として入社後挑戦したい仕事として希望される方も多いです。でもそれは、仕事内容が魅力的なこともそうですが、広く認知されているからでもあると思っています。
今回制作した、イノベーション戦略室もCXデザイン部もグローバル本部も、やりがいや魅力において決して引けをとっているわけではありません。だからこそ、動画を通じてその認知の壁を無くしたいと思いました
実際に映像制作をしてみて、感じたことはありますか?
ワコールの”営業”に密着!動画の1シーン
とにかく、私たちにかかる負担が少なかったです。Original Pointの担当者さんが、弊社のインタビューイーと直接コミュニケーションしてくれたおかげで、私たち人事部が間に入って調整する必要がありませんでした。もちろん、インタビューされる側には多少の負担があったと思うのですが、どの担当者も「自分の仕事を見つめ直す貴重な機会になった」とポジティブに受け止めていました。
企業のリアルを、こういった形でアーカイブすることで、学生はいつでもどこでも会社を覗くことができます。そしてそれは、自分のキャリアを想像する上でとても大切な体験になっていると思います。
「ここで働いてみたい!」と思う学生もいれば、「自分にはちょっと合わないかも」と思う学生もいることでしょう。自分と向き合い、自分を掘り下げるきっかけを提供できていることに、大きな価値を感じています。
今後、新卒採⽤や配属・育成において実現していきたいことを教えてください。
一言で言うと「世代に合わせたアプローチを考えて実行したい。」です。
今、私たちが向き合っている学生の皆さまは、私が学生だった頃と比べても、とても自律的に自分たちのキャリアを考えていると感じています。だからこそ選考・配属のプロセスを、見直すべきだと強く思うようになりました。その第一歩として、今年から新しい配属先決定方法である「マッチング会」を実施することにしました。
マッチング会は、積極的・主体的に新入社員を育成したいという強い思いがある部門と、新入社員との、相互のマッチングによって配属を決定していくイベントのことです。先輩社員には所属部署の魅力を新入社員に伝えてもらい、新入社員には自分自身をアピールしてもらいました。
これは、従来の「空いたポストに、適性のある人材を配属する」人事部主導のアプローチとは全く異なるもので、結果として「新卒社員を採用・育成したい意志のある」手を挙げた部門に対して、新入社員全員が第二希望までの範囲でマッチングが成り立ちました。
私たち人事部は、マッチング会の2日ほど前に全ての新入社員と面談して、その適性やポテンシャルを伝え、その上で「あの部署のブースには顔を出してみた方がいいよ」といったアドバイスをしました。
あくまで新入社員の意思を尊重しますが、情報不足によるミスマッチは回避したいと思ったからです。このプロセスは、今回のマッチング会の成功にも貢献していると思います。
-キャリア自律を掲げる御社らしいアプローチですね
今回のマッチング会は新入社員にとって、自分の意志でキャリアを選択するという機会にもなりますが、参加部署にとって自部署の力を見つめ直す機会にもなったと感じます。
この仕組みを実現するプロセスにおいて様々な紆余曲折はありましたが、きっとこれからの組織の発展にも繋がると思っています。
-ハタチのトビラに期待することがあれば教えてください。
これからも学生目線のコンテンツを作り続けてほしいと思っています。企業やそこに所属する人の多種多様な仕事が映像コンテンツとして世に出ることで、学生たち自身が楽しみながらキャリアを考える機会が増えたら嬉しいなと思っています。
インタビュー後記
どうしてもイメージ先行な業界や職種もある中で、「学生にどれだけ会社のリアルな魅力を伝えられるか?」 会社のリアルな部分を訴求したいという人事様の想いを感じながら、伴走させていただきました。
最後に語っていただいたマッチング会についても、社員に選択肢を提示し、自らキャリアを選ぶ機会提供は、キャリア自律という観点からも素晴らしいアプローチだなと感じました。
今後も、様々なパートナーの皆様と一緒に、採用広報にとどまらない支援を模索できたらと思います。
Masanari Takahashi
高橋 政成
大学を卒業後、人事コンサルティング会社(株)シェイクへ入社。研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。その後、既存事業と兼務で、大学向け教育の新規事業を立ち上げ。2016年、大学・採用・キャリア開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point株式会社を設立。