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探究レポート

RJP×採用力強化 事例

タグラインを軸にした新卒採用とは?〜ジョブシャドウを活用したavex流内定者フォローを振り返る〜

一見華やかで、採用市場で人気のある企業ほど、入社後のリアリティショックが生じやすいもの。会社の良いところを見せようとするあまり、実際の仕事内容や、会社の存在意義であるタグラインやMissionについて十分に伝えきれていないケースも存在するのが実情です。

今回は、これからの採用活動について、ジョブシャドウイング※を活用した内定者フォロー施策の設計をご一緒させていただいた、エイベックス株式会社 人事総務本部 人事グループ 第3人事ユニットの北原鮎子さんと西岡遼平さんとともに考えていきたいと思います。

※ジョブシャドウイングとは
米国で定着している職業教育の一種です。仕事を「体験する」インターンシップとは異なり、社会人の1日の仕事の様子を「観察する」というのがその特徴。社会人の1日の仕事(ジョブ)に、影のように密着する(シャドウイング)というのが言葉の意味である。

社員それぞれが、自分にとっての「Really! Mad+Pure」を語れるために

―御社では新卒採用にあたって、どのような点にこだわっているのでしょうか?

-北原さん:まず大前提としてタグライン「Really! Mad+Pure」や行動規範の視点をベースに、学生のみなさんがどのような想いでどのようなことをやってきたのか、その結果何が生み出されたのか、などを見させてもらっています。

あとは、やはり弊社は総合エンタテインメント企業なので、エンタメへの愛情はとても重要な要素ですね。当社に対して、「エンタテインメント×テクノロジー」といったスマートなイメージを持たれる方が多いのですが、良い意味で体育会系的な要素もあるので、エンタテインメントが好きでないとなかなか続きません。

―タグラインは2017年に新たに定めたものですよね。どのように言語化し、現場や採用活動へ落とし込んでいるのでしょうか?

-北原さん:タグラインの意味は、「ともすれば今は非常識で、他人から「おかしいんじゃないの?(Mad)」と思われることも真摯(Pure)に追い求め、世の中にマジで!?(Really!)を届け続ける」」という意味なのですが、社員それぞれにとって何が「Really! Mad+Pure」なのかは異なるので、各々が言語化できるレベルまで落とし込んで理解することが大切です。

そのために社内では、「Really! Mad+Pure Award」という、タグラインをもっとも体現した社員を表彰するイベントを開催したり、採用時には会社説明会や採用HPでの社員インタビューなどで理解を促したりしています。

―タグラインを掲げても、社内・社外に落とし込むのは一苦労ですよね…

まだまだ、これからですね。タグラインは社員全員が知っていますが、各々が自分にとっての「Really! Mad+Pure」を自分の言葉で語れる状態を、これからもっと作っていく必要があると考えています。

リアリティショックの是正に向けて実施したジョブシャドウイング。副産物は「タグラインの言語化」

―今回ジョブシャドウイングを活用した内定者フォロー施策の設計をご一緒させていただきましたが、設計にあたりこだわったポイントを教えてください。

-西岡さん:内定者フォロー施策にジョブシャドウイングを取り入れた目的は、入社後のリアリティショックを解消することでした。例えば早朝から1日がかりでライブの準備を行うような「泥臭さ」も含めて、仕事の過程一つ一つをしっかり理解してもらえるようにしたのがこだわったポイントです。

―どのような効果がありましたか?

-西岡さん:これまでは4月1日からいきなり新入社員研修が始まるのが普通でした。入社前に具体的な仕事に触れる機会はなかったんですね。今回の内定者フォロー施策では、内定者が「仕事内容」と「仕事をしている人」についてリアルに知る機会を作ることができました。

ジョブシャドウイング後の面談では「仕事内容はイメージと違ったけど、それに気付けて良かった」と話す内定者もいて、やって良かったなと感じています。

―次年度の採用活動にも活かす目的で、ジョブシャドウイングの様子を採用広報動画コンテンツにして、どのような反響がありましたか?

嬉しかったのは、地方で説明会を行った際にジョブシャドウ動画をみてエイベックスを知って質問をしにきてくれたことですね。

出来上がった動画を見ると、それぞれの社員が自分にとっての「Really! Mad+Pure」を言葉で表現していただけでなく、自分なりの想い仕事を通じて体現されていました。

内定者や応募者にとっても、この動画がそれぞれの「Really! Mad+Pure」を考えるきっかけになることを期待しています。

変化の激しい採用市場。重視するのは応募者の「志」

―通年採用が始まるなど、採用のあり方は刻々と変わっています。その中で、ぶらさずにやろうと思っていること、逆に変えたいと思っていることがあれば教えてください。

-北原さん:変えずに続けていきたいと思っているのは、国籍、年齢、学歴にこだわりを持たない採用です。当社の新卒採用は「“志”新卒採用」というネーミングになっていて、エンタテインメント業界で何かを成し遂げようという志を持っている人であれば、バックグラウンドは関係ないというスタンスを持っています。

以前は29歳未満なら国籍・学歴・経験不問で誰でも何回でも挑戦できる制度にしていたのですが、応募時期や採用期間が基本新卒軸になっているので、社会人の方は非常にチャレンジしづらい状態でした。

そこで若手社会人の方にもチャンジしてもらいやすいよう、昨年12月から社会人歴4年未満の方を対象に「“志”ポテンシャル採用」をスタートしたところ、想像を遥かに上回る反響がありました。

新卒の時に自分の将来について考え切るのは難しいからこそ、社会人になって実際働きだしてみるとまた自身の職業観に変化が出てくることがあると思うのですが、やはり好きなことを仕事にして生きていきたいという思いが強くなった方が、当社に応募して下さっているようです。

新卒については今後通年採用が始まりますが、採用時期を早めたところで、会社に魅力がなければ人は離れていってしまいます。大切なことは、こちらからダイレクトにアプローチしなくても応募していただける魅力のある会社にすることです。

エンタテインメントを通じた社会貢献という当社の事業内容への共感を得られるよう、ジョブシャドウイングも含めて、会社の魅力を多角的に伝えていきたいですね。

インタビュー後記

内定者フォローとして、働く環境を入社前にオープンにすることでリアリティショックを予防することの一環ではじまった今回のジョブシャドウイングと採用広報動画制作の企画。

エイベックスさまの現場に内定者のみなさんと立ち会う中で「仕事観をもった大人に触れる体験が、内定者の働く意識に与えるインパクト」の大きさを感じました。

内定者の感想から「社員さんへの心配りも真似したいと感じた」「働く社員の使命感を感じた」といった声が聞こえてきたのも、華やかな仕事の裏側にある、個々の想いや拘り、消して綺麗事だけでは終わらない現場のリアルに触れたからこそだと思います。

世の中一般的な内定者フォロー施策を受けた内定者の声として「ただの飲み会で終わってつまらなかった…」「eラーニングが面倒で困る…」といった内定者本人にとってメリットを感じにくい施策も多いように感じます。

Original Pointとしては、単なる接点を持つ機会ではなく、入社後活躍や働くことへの期待感が醸成することを見据えた機会を通じて、企業・内定者双方にとってWin-Winになる後押しができればと思います。

高橋 政成

高橋 政成

Masanari Takahashi

大学を卒業後、人事コンサルティング会社(株)シェイクへ入社。研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。その後、既存事業と兼務で、大学向け教育の新規事業を立ち上げ。2016年、大学・採用・組織開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point株式会社を設立。

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