大学キャリア教育 事例
大学と社会をつなぐキャリア教育「ハタチのトビラ」開催レポート 〜(株)バンダイ×学生団体アイセック編〜
キャリア教育のカタチを模索する「ハタチのトビラ」
先日、弊社が毎月20日に開催している「ハタチのトビラ」の出張版として、株式会社バンダイ様のご協力のもと、学生団体アイセックに所属している学生向けにワークショップを開催しました。
「ハタチのトビラ」は、学生が、“ちょっと真面目な出会いや対話を通じて、マイテーマという暫定的な指針をもとに新たな一歩を踏みだすこと”を目的に開催している、ちょっと真面目なキャリアイベントです。毎月多様な価値観とマイテーマを持ったオトナと一緒に、これからの自分のキャリアについて対話を深めています。
当日は、バンダイ様の会場で、社員の方2名にご協力いただき、総勢25名のアイセック学生とキャリアについて考えました。
1.これからの時代におけるキャリア戦略
2.マイテーマの種をみつける(社会理解)
3.マイテーマを考える(自己理解)
4.座談会
組織と個人の関係が見直される時代のキャリア戦略とは?
大学生活の中では感じにくい部分ですが、いい大学に就職し、安定した企業1社で勤めあげ、年金で老後を暮らすという3ステージの人生設計が難しい時代へと変化しています。
キャリア論としても、「プロティアン・キャリア」つまり、自分を変化させ続け、心理的成功を味わい、市場価値を高めていくという考え方が注目されています。組織が主役の時代から、個人が主役の時代の到来です。
こうなると、就活でも問われる「個人として、何がやりたいの?」といった、やりたいこと論が広がっていきますが、誰もが人生をかけて「やりたい」と思えるものをみつけていくのは難しいことです。現実、日本の新卒一括採用という仕組みを踏まえると、やりたいことを描いて入社しても、配属権は企業にあるのであまり意味をなしません。
ハタチのトビラでは、そんな問題意識から「マイテーマ」つまり、自分の今置かれている環境の中で興味のあることから、暫定的な指針を決めるという考え方を伝えています。
「テーマとなる問いを持って行動する」「それを振り返り新たなテーマを決める」この繰り返しが、大学生活やその先のキャリアを充実させていくものとなると考えています。
社会人のマイテーマに触れることで、興味の種を広げる
キャリア論について理解いただいた次は、早速マイテーマを考えてもらいたいところですが…
現状の自分の興味を可視化する前に、視野を広げてもらう、またマイテーマに沿った生き方への理解を深めていだくことを目的にマイテーマをもって働いているオトナとして、社員のお二方にマイテーマプレゼンをしていただきました。
マイテーマは「みんなの心にネバーランドをつくるには?」
1人目の勝野由麗さんは、いつまでも子供心を忘れずに楽しいことを追求できる人間でありたいし、みんなにもそう思ってもらえるようにしたい、という想いをもっていたようです。
就活時には自分自身も共感・感動・楽しいと思える事業かどうか?=自分の心にネバーランドを持てるかどうか?が軸になっていたそう。
その後働く中でも、お客様となるみんなの心にもネバーランドを作れるよう、各配属先で化粧品やガシャポンの企画の仕事をしながら、このマイテーマを探求し続けているとおっしゃっていました。そのプレゼンをする様子は非常に生き生きとしていて、マイテーマがあるキャリアは非常に楽しそうな様子でした。
マイテーマは「日本に生まれた人が日本に生まれて良かったと思える社会にするには?」
2人目の木曽さんは、バンダイへは中途入社。もともとはWEBマーケティング支援会社で5年間営業をされていました。学生時代に行っていた国会議員インターンシップで、このマイテーマを自然と意識するようになり、このままではマイテーマ探求をするにも、自分の力が足りないと思いゴリゴリ働く企業へ入社。
社会人4年目、一緒に働くメンバーをふと見ると、どうも誇りを持って働いているように思えない。死ぬ気で働く中でマイテーマのことを忘れてしまっていたけど、やっぱり自分は誇りをもって、自分のテーマに沿って働いていきたい!そう思い、日本で生まれたキャラクターの商品を取り扱っているバンダイに入社を決意。
より多くの人にバンダイの商品を手にとってもらい、日本のカルチャー、そこからの夢・感動を得てもらうことで、日本に生まれて良かったと思ってもらう。こうやってマイテーマを探求しながらキャリアを歩まれていました。
「興味」から出発する自分らしいキャリアを
最後のセクションは、オトナのマイテーマを聞いた学生が自分のマイテーマを考えていきます。日常生活の中で自然とアンテナが立っているキーワードを可視化し、マイテーマを言語化していく作業なのですが、ポイントはワークを一緒にやる仲間からもらうハッシュタグ!
ワークシートに記述したキーワードを仲間に共有し、仲間はそこから連想されたその人の「らしさ」や「興味」を表すハッシュタグをつけていきます。このハッシュタグは、その人にとってマイテーマの素材となり、だんだんとキャリアの指針となるマイテーマが言語化されていくのです。
そして、まとめとして、この1ヶ月のマイテーマとアクションを決めて終了です。一人で黙々と自己分析をしても、なかなかわからない自分のこと。また、経験値不足や視野が狭い中で、考えてもわからない自分の指針。
だからこそ、暫定的に指針を決めて、新たな一歩と振り返りを繰り返していく。学生団体というチャレンジを起こしやすい環境だからこそ、いろんな一歩のきっかけになればと思います!
今回、ご協力いただきました皆様、誠にありがとうございました。ハタチのトビラとしても、あるべきキャリア教育のカタチを模索し続けたいと思います。
アイセック当企画代表からコメント
この度は、子供のころからお世話になっている株式会社バンダイ様と、平素より関わりのあるOriginal Point様との合同イベントに参加させていただきまして誠にありがとうございました。今回参加させていただき、シンプルに感じたものとしては「ワクワク感」でした。普段、目の前の活動に熱中する事はあっても、機会がない限り「自分はこれをやりたいんだ!」というマイテーマを語り合う時間は、恥ずかしさなどからあまり多くは無かったと思います。今回のイベントを通し、自分のテーマを振り返りアップデートする事、そして他者と語らうことで気づく他者からの目線は「自分がすべき事」ではなく「自分がしたい事」を見つけていく上での収穫となると感じました。今後は今回の学びを活かし、弊団体内でも定期的にマイテーマに関して語らう時間を設けていければと考えております。この度は本当にありがとうございました!
(アイセック明治大学委員会 副委員長 兼 外部関係統括 大野紗季)
バンダイご担当者様からコメント
マイテーマを見つけることは就職活動に限らず、人生の選択を迷われたときや新たなチャレンジをするときの指針にも糧にもなり得ます。そのためマイテーマを見つける活動はすごく重要に思います。ぜひとも自分を表す言葉をたくさん見つけて、また、たくさん作れるようにいろんな刺激を受けて、自分のマイテーマを見つけてください。マイテーマが明確にある人ほど、自分のしたいことを実現させるために何をするべきなのかがわかり、主体的に周りを巻き込み、前向きな活動ができていると思います。バンダイではそれができる社員が活躍していますし、みなさんの「したい」をカタチにできる環境があります!ぜひともマイテーマを実現させるための一つの手段にバンダイを知ってもらえたらうれしいです。
(株式会社バンダイ 人事部 勝野 由麗)
Mizuki Muraoka
村岡 瑞妃
大学卒業後、1年間東京都の小学校教員として担任を務める。その後、エン・ジャパン(株)に転職し企業の採用支援や評価・教育研修サービスの提案営業を行う。現在は、Original Pointへ参画し、大学キャリア教育や新卒採用領域の事業推進に携わっている。