
新卒採用支援
【採用編】Z世代の内定辞退を防ぐ「3Fitマッチング」とは?元大手採用担当と語る、選考プロセス改善【イベントレポート】
人手不足が加速し、売り手市場となっている昨今。Z世代の採用活動において、「内定を出しても辞退されてしまう」「採用後のミスマッチが不安だ」といった課題に直面している採用ご担当者様は多いのではないでしょうか。
本記事では、Original Pointが主催したセミナー『Z世代の採用は“マッチング”で決まる!現場で活きる実践セミナー』の第1部「【採用編】3Fitマッチングによる選考設計と採用広報動画活用によるZ世代の就活」の内容を基に、学生とのマッチングの「質」を高め、納得感のある意思決定を促すための具体的なヒントをご紹介します。
なお、採用はゴールではなく、入社後の定着・活躍を見据えたスタートです。続編となる【育成・定着編】では、採用した人材をいかに育て定着させるかについて詳しくご紹介しますので、そちらも併せてご覧ください。
なぜZ世代の採用で「マッチングの質」が重要なのか?
セミナー第1部では、大手メーカー元採用担当の山本さんをお迎えし、Z世代との最適なマッチングを図るためのポイントや具体的な手法について対談形式でお届けしました。
高橋からは会話の前提として、「内定を3社以上獲得した学生の意思決定は、主にカルチャーフィットである」という傾向データが示されました。一括採用で配属先がわからない新卒にとって、カルチャーは最も重要な指標になり得ます。
採用担当としては内定を出したタイミングで内定承諾を受け取れるのがベスト。そのためにできること、やるべきことは何なのか? という問いから対談が始まります。
ポイント1:納得感を言語化するフレームワーク「3Fitマッチング」
学生にとって内定承諾は、人生を左右する大事な場面。「なんとなく合ってそう」という感覚ではなく、「だから入社する」という論理的な納得感が求められます。その納得感を構造化するフレームワークとして、テーマ・カルチャー・スキルの3つの観点から成る「3Fitマッチング」があります。
・テーマフィット:会社のビジョンや事業が、自身の興味関心と合致しているか
・カルチャーフィット:会社の価値観や風土が、自身の価値観と合致しているか
・スキルフィット:自身の強みが、会社で求められるスキルと合致しているか
採用プロセスを通じて、学生自身がこの3つのフィットを自分の言葉で語れるように支援していくことが、最終的な意思決定の確度を高めます。
ポイント2:早期から学生の「自己理解」を促すコミュニケーション
自社のことを一方的に伝えるだけでは「3Fit」の納得感は醸成されません。では、どのようなアプローチが効果的なのでしょうか? 山本さんの実例として挙がったのは、学生の「自己理解」を促す仕組みづくりでした。
「学生もそれぞれ自己分析をしながら就職活動を進めますが、採用担当をはじめとする社会人目線での分析と比べると、どうしても深さや広さに乖離があります。インターンシップなどの早期のタイミングで自己理解できるコンテンツを提供したり、選考フローの途中でも面談を実施して学生の価値観やキャリアの優先順位を一緒に整理することで、気づきを促すコミュニケーションが実現できます」
企業側が答えを与えるのではなく「対話を通じて学生の内省を深める手助けをすることが、本質的なマッチングに繋がる」という考え方が印象的でした。
ポイント3:正しい「企業理解」のために、学生の可処分時間を取る
企業に対する認識とリアルに乖離がある場合、入社後にギャップやリアリティショックを感じるリスクが大きくなります。どれだけ実際に近いリアルな理解を届けるか、という課題は、採用後の定着率にも大きく関わるところです。
山本さんは、採用イベントなどでの会社説明はもちろんのこと、SNSや動画を通じて、鮮度の高いリアルな情報を発信することにこだわっていたそうです。
「ホームページやイベントでは届けられる情報量や鮮度が限られてしまうので、学生の手元にいつでも最新の情報が届くようにコミュニケーションを設計しました。学生の可処分時間、つまり、スマホで当社に触れる時間のシェアをどれだけ伸ばせるかが大事だと考えています。」
学生の進捗や興味に応じて適切なコミュニケーションをするために、様々な動画コンテンツをストックしておき、タイミングに応じて使い分けていたというお話も。フォロー工数を肥大化させることなく、それでいてカスタマイズに近い体験を設計できる手法を共有いただきました。
Q&A
当日は、参加者の方々からリアルタイムでご質問が寄せられました。ここでは質疑応答の一部をご紹介します。
Q1:学生に対して寄り添いを表現する「個人としての発言」とは、具体的にどのようなものでしょうか?
A1:「採用担当としての発言」の逆です。例えば「TOEICのスコアで落とされたら腹が立つよね」といった学生の感情にストレートに寄り添う言葉や、「うちは第一志望じゃなくていいよ」と、就職活動の“お約束”をあえてこちらから崩してあげるスタンスです。こうした発言が学生の警戒心を解き、本音を引き出すきっかけになります。
Q2:内定を出した後も学生が他社の選考を続けます。無理にクロージングをすると「オワハラ※」と言われてしまう時代に、どうすれば内定辞退を防げるでしょうか?
※オワハラ……「就活終われハラスメント」の略
A2:ご存知の通り、無理な詰め寄りは逆効果。重要なのは、最終面接の“前”に設ける面談です。ここで学生の価値観の優先順位を一緒に明確にし、「なぜこの会社が合うと思うのか」を一緒に言語化できれば、学生自身が納得し、他社の選考を受ける必要がなくなります。対話の結果、たとえ自社が2番手だと分かっても、誠実な対話をしてきた過程こそが信頼関係や入社の決め手に繋がります。
【採用編】まとめ:質の高いマッチングが、入社後の活躍の土台を作る
・「3Fitマッチング」の視点で、学生の「自己理解」を促す対話を重視する
・学生の可処分時間を獲得するために、コンテンツを用意し使い分ける
・誠実なコミュニケーションで学生との「信頼関係」を構築する
Original Pointでは、本セミナーでご紹介した「3Fitマッチング」を活用した選考フロー設計のコンサルティングや、学生にリアルを届ける動画コンテンツの制作を行っております。大学生の社会理解から入社後活躍まで、一気通貫で若手を支援するからこそ実現できるサービスと体験をご提供します。
詳しいご説明をご希望の方は、下記より資料を請求ください。
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大学生に刺さる「1日密着動画」を作る、ハタチのトビラの動画制作サービス
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『現場で活きる実践セミナー』当日スライド
Masanari Takahashi
高橋 政成
大学を卒業後、人事コンサルティング会社(株)シェイクへ入社。研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。その後、既存事業と兼務で、大学向け教育の新規事業を立ち上げ。2016年、大学・採用・キャリア開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point株式会社を設立。