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働く“現場”に触れ、企業とのマッチングポイントを理解する「ハタチのインターン」開催レポート
2024年7月28日(日)、26卒向けイベント『ハタチのインターン』を開催しました。『ハタチのインターン』は「夏インターンが就活を左右する」「企業に合わせて〇〇しなければ」といった固定概念を覆し、本質的な“マッチングのポイント”を理解するインターン体験型イベントです。
夏インターンは学生視点では様々な業界・企業に触れ、視野を広げる機会ではあるものの、企業視点では動機付けをするための狩場になっている側面もあります。
学生の中には「グループワークは体感できたが、仕事の解像度はあがらなかった…」「新規事業立案は面白かったが、1年目の自分が働くイメージが湧かない…」など、時間を投資したものの得られるものが薄く不満を抱える層も一定存在します。また、参加したインターンのファンになることで就活の視野を局所的に狭めてしまう層や、インターンに参加することに満足し、軸を見出せない層も存在します。
今回のイベントでは、元人事対談により就活における偏った噂話への誤解を紐解きつつ、10分インターンという短時間で職種理解を深められるコンテンツを複数視聴することで、学生が業界を俯瞰する機会や、インターンにおいて軸を見出すための企業比較の方法論を学ぶ機会をつくりました。
▼目次
1.元人事担当者対談|就活生のよくある勘違いから選考のポイントを語る
2.企業によるテーマ・カルチャー・スキルの3FITプレゼン
3.1日密着動画と採用担当者との対話でリアルな働くに触れる
4.参加した学生の声
1. 元人事担当者対談|就活生のよくある勘違いから選考のポイントを語る
本セッションでは、「就職活動とそのウラガワ」というテーマで、元トヨタ自動車の採用担当人事の斎絢矢さんと、コクヨ株式会社の元採用担当、山本浩貴さんに登壇いただきました。
このセッションのポイントは”元”人事。現役を離れたからこそぶっちゃけられるアレコレを学生にぶつけていただきました。
「“御社が第一志望”と言わなければいけない」「映えるエピソードが必須」など、学生が陥りがちな勘違い。人事が本来、エントリーシートや面接で求めていることは何なのでしょうか?学生側と人事側とのギャップを埋めるため、元人事の二人に以下の問いをお伺いしました。
Q.企業の人事目線と学生目線でよくある就活の勘違いとは?
Q.今までで一番テンション下がった面接って?
「第一志望」よりも学生と企業のマッチ度合いを重視
山本さんからは「面接では『御社が第一志望です』と言わなければいけない」という勘違いに対して、「第一志望だからその学生を取りたい、というわけではない。学生の経験や強みが会社とマッチしていれば入社オファーを出す。」というお話がありました。斎さんは「『会社が好き』かどうかよりも、学生と対話を積み重ねていく中で、学生と企業の目指したい未来が一緒であることを重視している。」と語られました。
NOTプレゼン!面接は、双方向のコミュニケーションで本音を語ってほしい
また、「人事は面接で学生にプレゼンを求めているのではなく、お互いの会話から学生の良いところや強みを引き出したい」とお話がありました。面接ではどんな質問にも完璧に答えようと対策を練る学生も多い中で、自分の言葉で普段に近い形で話してほしいというお話には、新たな気づきを得た学生も多かったようです。
ガクチカは映えるエピソードよりも…
“ガクチカ=学生時代に力を入れたこと”について、「きらびやかな、映えるエピソードが必要なのか?」という問いに対し、斎さんは「映えるエピソードだとしても、本人が葛藤や試行錯誤した経験が見えてこないと評価されない。居酒屋のアルバイトでも、課題設定して解決したエピソードがあればそれを教えてほしい。課題にどう立ち向かいながら突破したのかを聞きたい。」とお話しされました。山本さんは「何をやったかよりも、どう成したか、プロセスの部分を聞きたい。」と、エピソードそのものよりも、むしろ何を課題として設定し、どのように解決したかを知りたい、という人事の本音を語ってくださいました。
2.企業によるテーマ・カルチャー・スキルの3FITプレゼン
多様な分野で社会へ価値を提供する3社にお越しいただき、夏インターンをはじめ、これから始まる就活に向けて、企業とのマッチ度を測るためのポイント“3つのFIT”を軸に企業理解と自己理解について考えました。本セッションでは、株式会社コスモスイニシア・株式会社オプト・株式会社リログループの3社による5分間の3FITプレゼンを行いました。
ハタチのトビラでは、自己理解と企業理解の両方を深める中で、“3つのFIT”を意識して企業理解を進めることを推奨しています。マイテーマ・強み・価値観の軸で自分への理解を深め、その結果と企業を紐づけるのが、テーマフィット・カルチャーフィット・スキルフィットからなる3つのFITです。理念・事業から何を目指し、誰にどんな価値を提供しているかを知り、自分と企業のフィットを確かめます。
株式会社コスモスイニシア
テーマフィット:「Next GOOD」一歩先の発想で、一歩先の価値を、新しいあたりまえを創る
カルチャーフィット:「自ら機会をつくりだし、機会によって自らを変えよ。」
スキルフィット:「課題解決型リーダー」を目指して人材育成
株式会社オプト
テーマフィット:長期的に顧客の事業成長を先導する
カルチャーフィット:個人の情熱と会社の未来の重なりを大切にする
スキルフィット:GAME CHANGER
株式会社リログループ
テーマフィット:日本企業の海外進出サポートや働く人のQOLを支える
カルチャーフィット:スキルよりウィル「舞台を与える経営」
スキルフィット:課題解決カンパニー
3.1日密着動画と採用担当者との対話でリアルな働くに触れる
3FITプレゼンの後は、“10分インターン”と題し、3社に分かれて社員の1日密着動画を視聴しました。密着動画では、学生が選考フローでは見えにくい実際の仕事現場や、働く魅力に触れられます。リアルな働く姿から企業の3FITへの理解を深め、学生が企業とのマッチ度を測るきっかけに繋げています。
株式会社コスモスイニシアでは、企画開発本部都市開発部の入社2年目の社員さんの1日を取材した動画を視聴しました。動画を見た学生から「不動産営業は体力勝負って聞くけれど本当?」という質問に対し、人事の南野さんは「不動産業界だから激務というわけではない。業界でくくらず、ビジネスモデルを見ることが大事」とお答えされていました。就活で耳にする噂を鵜呑みにすることなく、本質を見極めることの重要性を伝えてくださいました。
企業理解フレームのグループワークと質疑応答
動画視聴の後は、“企業理解ワークシート”を使い、企業の全体像を理解するためのグループワークを行いました。また、ワーク内で出てきた疑問を企業に積極的に質問し、理解をさらに深めました。
「新卒カードは大手に行くべき?やりたいことやるべき?」
「営業でどんなスキルが身に付く?」
「お客様の期待に応えるために意識していることは?」
「サービスにおいて、他の企業とどう差別化を図っている?」
学生の質問に対し、人事担当の方から採用や仕事のリアルをお話しいただきました。
参加した学生の声
イベントに参加いただいた学生より、多くの気づきや学びの感想をいただきました。
•人事は学生と面接で対話をしたいという本音を知ることができた。
•自分がガクチカのエピソードばかりに囚われていたことに気づいた。
•ガクチカや自己PRを書くのに一生懸命になる前に、企業理解や自分理解に時間をかけるほうが大切だと感じた。
•フランクな雰囲気で企業説明を聞けて、自分で理解できたかフィードバックするのが新鮮だった。
•企業理解の大切さを感じた。また知らない企業でも良い企業があるんだなと気づいた。
編集後記
本イベントでは、企業理解のフレーム“3FIT”をもとに企業との本質的な“マッチングのポイント”への理解を深めました。
サマーインターンを控え、早期から就活に意欲的に取り組む学生にとって、仕事密着動画で企業のリアルを知ることは、ファーストキャリアの選択肢を広げるきっかけに繋がったのではないでしょうか。
また、「知らない企業だったが、自分の興味のある分野の事業や理念を持っていると分かった」「大手だけでなく、まだ知らない企業にも目を向ける機会になった」などの学生の声も聞かれました。
Original Pointとしては、就活に前向きに活動する大学生と企業との出会いを創出することで、新たな選択肢を広げ、周りに流されない自分軸での就活を進める学生を増やしていきたいと思います。
Masanari Takahashi
高橋 政成
大学を卒業後、人事コンサルティング会社(株)シェイクへ入社。研修プログラム開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。トップセールスを達成した後、最年少マネジャーへ昇格。その後、既存事業と兼務で、大学向け教育の新規事業を立ち上げ。2016年、大学・採用・キャリア開発の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point株式会社を設立。