探求レポート

Open up
your possibilities

TOP-探究レポート-【選考離脱・内定辞退を防ぐ】適切なマッチングをつくるための3FITを用いた採用フローの作り方

SHARE Twitter Facebook LINE

【選考離脱・内定辞退を防ぐ】適切なマッチングをつくるための3FITを用いた採用フローの作り方

選考離脱や内定辞退でお悩みの人事の方へ

「いい学生の母集団は作れるけど、取りきれない」「結局大手に取られてしまった…」

リクルートワークス研究所の調査によると、2024年卒の新卒採用における内定辞退率は56.4%と、依然として高い水準を記録しています。選考過程での学生の離脱、内定辞退など、採用活動にかけた時間やコストに悩まされている人事の方も少なくないかと思います。

この課題を解決するためには、学生と企業の双方にとって「納得感」の高いものにすること、つまり、本質的なマッチングを実現することが重要です。では、本質的な内定承諾率に寄与するマッチングとは一体何でしょうか?

この記事では、大学キャリア支援を担い、学生や職員のリアルな声に触れ続けているOriginal Pointだからこそお伝えできる、最適なマッチングを感じる候補者体験、選考フローの作り方を紹介します。

本質的な内定承諾率に寄与するマッチング「3FIT」とは?

最適なマッチングとは何か?

それは学生の3つの軸と企業の3つの軸が合致することです。学生と企業、双方にとって納得感のある採用を実現するために有効な手段としてのフレームが「3FIT」の考え方です。具体的には、以下の3つの軸が合致している状態を指します。

【学生の3つの軸】

マイテーマ:自分の興味関心や、仕事を通して実現したいこと
価値観:仕事や人生において大切にしたい考え方
強み:経験やスキル、持ち合わせている能力

【企業の3つの軸】

テーマ:企業理念やビジョン、事業内容
カルチャー:組織風土や社内環境、行動指針や価値観
スキル:事業を遂行するために必要なスキルや経験、能力

従来型の採用活動では、「スキル」の一致、つまり「学生が、現時点でどの程度のスキルを持っているか」という点に焦点が当てられてきました。しかし、3FITの考え方では、「テーマ」や「カルチャー」の一致、つまり「学生と企業が、同じ方向を向き、共に成長していけるか」という点も重視しています。入社後に高いモチベーションを維持し、活躍し続けるためには、スキルだけでなく、仕事に対する価値観や、組織へのエンゲージメントといった要素が非常に重要になるからです。

学生のマイテーマと企業のテーマ(理念)が合致するテーマフィット学生の価値観と企業のカルチャーが合致するカルチャーフィット学生の強みと企業の求める人材要件が合致するスキルフィットの3つが合うことが最適なマッチングです。

大切なのは、選考フローを通じて、「なんとなくうちの会社に合っている」ではなく、3つのフィットが合致しているということを適切に言語化していくことが納得感を持った内定受諾や入社前の準備につながっていきます。

内定承諾につなげる3つのステップ

3FITを軸とした採用活動を実践し、学生と企業双方にとって納得感のある採用を実現するためには、以下の3つのステップを踏むことが重要です。

ステップ1:企業の軸をクリアにする

企業の軸をクリアにするというのは、まずその会社のテーマ、事業というものが何なのかというところを言語化することです。学生が企業の何を見て、自分との適合性を判断するのか? それは、企業側が自社の魅力や特徴を学生にとって分かりやすく提示できているかに左右されます。企業の3つの軸「テーマ」「カルチャー」「スキル」を、採用活動全体を通して明確に示すことが重要です。

1. テーマ:企業の目指す未来を語る

企業の理念や目指す未来を、学生にどう伝えていますか?

残念ながら、企業理念やビジョン、事業内容を、ただ羅列するだけでは学生の心に響きません。 「なぜ、その事業を行っているのか?」「社会のどんな課題を解決したいのか?」といった、企業の根底にある「想い」や「背景」を、具体的に伝えることが大切です。
例えば、「自社の商品やサービスが顧客の生活をどのように豊かにしているのか?」のような具体的なエピソードなどを交えて語ることで、学生はよりイメージを膨らませ、共感しやすくなります。

2. カルチャー:社風や価値観を可視化する

学生に社風をどのように伝えていますか?

「風通しがいい」「成長を後押しする文化」など、耳障りの良い抽象的な言葉だけで済ませてしまうのは、非常にもったいないです。カルチャーは、具体的な行動やエピソードを通して表現することがポイント。社員間のコミュニケーションを可視化することによって感じてもらうことが重要です。

  • 現場社員との座談会
  • 複数人の社員コミュニケーションを見せる機会をつくる
  • 1日密着動画で社員同士のON/OFFのコミュニケーションをみせる

Original Pointでは、職場の1対Nのコミュニケーションが見える1日密着などの動画を通じてカルチャーを具体的にする支援も行っています。

3. スキル:求める人物像を具体的に示す

求める人材要件をどのように学生に伝えていますか?

日本の一括採用において必要なスキルというのは、「自立」「主体性」「コミュニケーション力」というような抽象度の高いポータブルなスキルに定義されがちです。ただ、抽象的な表現は、学生の強みと会社のスキルがフィットしているのかということを判断しにくい傾向にあります。例えば「変化の激しい市場において、自ら課題を発見し、周囲を巻き込みながら解決策を実行できる人」といったように、より具体的な状況や行動をイメージさせることで、学生は自身のスキルとの適合性を判断しやすくなります。

やり方の1つとして、図のように、AとBどっちが自分に合っていると思いますか?というような二者択一となるような言葉で必要スキルを定義するのもおすすめです。まずは、採用に関わる関係者が具体的な言葉で求める人材像を共有し、スキル(スタンス)の優先順位や基準値を認識することが大切です。

ステップ2:3FITを本選考の採用フローに組み込む

これら3つのFITをクリアした情報を唐突に全て伝えても、伝わりきらないケースがあります。全てを1回で伝えようとせずに、選考フローの中でどう魅力訴求するかを整理してみてください。例えば、会社説明までにはまずはテーマ(理念)とのフィットを、選考フローのグループディスカッションの中ではスキルのこの部分を伝えて評価する、選考終盤では、カルチャーの芯の部分をすり合わせるをなど、選考フロー全体の中で意図を持って伝えるべきタイミングを考えていくということが重要です。

企業側がどんなに魅力をアピールしても、学生自身が「どんな会社で、どんな風に働きたいのか」が明確になっていないと、結局ミスマッチに繋がってしまいます。だからこそ、企業側は、学生が学生自身も気づいていない「興味」や「価値観」、「こだわり」を発見できるよう、サポートしていくことも重要になってきます。

タイミングは選考フローの前後どちらが適切?

学生に自分の軸を言語化してもらうタイミングは、大きく分けて2つあります。

1. 本選考前(インターンシップ後)

選考が始まる前に、企業のテーマ、カルチャー、スキルについて簡単に伝えてみてください。例えば、インターンシップの終わりに、以下のように学生に考えてもらう機会を取り入れるのがおすすめです。

  • 「自分の強み、価値観、テーマを言語化してください」
  • 「インターンシップを通して、うちの会社にどれくらいフィットしていると感じましたか? 点数化してみてください」

なんとなく「この会社いい感じかも」っていう漠然とした感覚を、あえて言葉にすることで、よりマッチ度をはっきりと感じてもらうことができます。逆に、「あんまりフィット感ないなぁ…」と感じた場合でも、それは問題ありません。実際にフィット感が高くないケースにおいては、会社理解が足りていないからこそ、フィット感を適切に感じられていないケースもあります。その際は、会社側からの伝え方として「だからこそ、うちの会社のことを今後もっと選考フローの中知ってくださいね」というようなきっかけづくりができると思います。

2.本選考フローの中盤~後半

選考フローの中盤~後半は、企業と学生、お互いの理解が深まっている状態なので、改めてフィット感を確かめ合う絶好のタイミングです。

  • 1次選考:学生の価値観を問い、、企業側が自社のカルチャーを言語化してフィードバック
  • 2次・3次選考:「うちの会社で働くイメージは持てていますか?」など、具体的な質問を通して、学生の理解度や関心の度合いをチェック

上記のように選考プロセスの中に、自然な形で「フィット感」を確認できるような仕掛けを作っておくことが重要です。

3つのFITを自覚してもらうことは、ミスマッチを防ぐだけでなく、学生が「自分らしいキャリア」を考える良いきっかけにもなります。企業側は、一方的に情報を伝えるのではなく、「学生の話をじっくり聞いて、一緒に考えていく」という姿勢でいることも、内定辞退を防ぐコツの一つです。

ステップ3:フィット感をフラットに確かめる双方向のコミュニケーション

フィットを確かめ合う手段としておすすめなのが、最終選考前のキャリア面談、もしくは最終選考後のキャリア面談です。最終選考フェーズにおけるキャリア面談では、選考とは異なる目的意識を持つことが重要です。

最近では、人気の大手企業を中心に、選考フローとは別にキャリア面談を実施するケースが増えてきています。これは、最終選考フェーズに差し掛かった学生が、複数の企業から内定を得て「どの企業を選ぶか」という最終意思決定で迷うケースが多いという現状に対応するためのものです。

【最終選考前のキャリア面談における目的】

  • 学生の悩みに寄り添い、納得感のある意思決定をサポートする。
  • 企業と学生の双方にとって、最適なマッチングを実現する。

最終選考前のキャリア面談では、企業側は自社をアピールするのではなく、あくまでも学生のキャリアを真剣に考える「相談相手」というスタンスで接することが重要です。
実際に、学生に入社の決め手をヒアリングすると「意思決定を焦らせず、納得する就活を応援してくれた」「最後までフラットな立場で自分に寄り添ってくれた」という声もよく聞かれます。

最終選考前後のキャリア面談は、学生としても自分の意思やキャリアプランを再確認し、納得感を持って入社企業を決めることに繋がりますし、企業側としては、ミスマッチを防ぎ、入社後の活躍、定着に繋がります。

このようなフラットな関係性の中で行われるキャリア面談をすることで、企業と学生双方にとってより良いマッチングを実現できる可能性が高まります。

編集後記

本記事では、内定辞退を防ぐための採用戦略として、学生と企業の双方にとって納得感の高い採用を実現する「3FIT」の考え方と、具体的な選考フローの構築方法を紹介しました。

企業・学生双方の軸を明確にして、マッチングを確かめ合うフラットな場を用意することが、思わぬ選考離脱・内定辞退を防げ、学生企業双方にとってより良いマッチングを創出します。

学生一人ひとりと向き合い、双方向のコミュニケーションを重視した採用活動へとシフトしていくことが、優秀な人材の確保や会社のビジョン実現への近道かもしれません。これを機に、自社の採用活動を見つめ直し、学生一人ひとりと向き合う選考フローを設計してみてください

Original Pointとしては、自分らしいファーストキャリアを選択できる仕組みをつくり、そういった想いをもった企業様のご支援を続けていきたいと考えています。

SHARE Twitter Facebook LINE

お問い合わせ