
大学キャリア教育 事例
同世代やロールモデルと、ちょっと真面目に未来を語る『ハタチの日』開催レポート
2025年2月20日(木)、ミカン下北で『ハタチの日』を開催しました。
成人年齢が18歳になっても、やっぱりどこか特別な節目である「ハタチ」。従来の成人式とはひと味違った、同世代の仲間や人生の先輩と一緒に自分を知り、未来を描く“新しい成人式”を行いたい。そんな思いで、20歳のみなさんを対象にさまざまなコンテンツを実施しました。
『ハタチの日』概要
日時:2025年2月20日(木) 開始12:00 / 終了15:30
会場:BROOKLIN ROASTING COMPANY (東京都世田谷区北沢2-6-2 ミカン下北B街区B101)
対象:20歳(大学2年生)
参加費:無料
主催:Original Point 株式会社
イベント公式サイト
メインイベント会場のBROOKLIN ROASTING COMPANYだけでなく、ミカン下北全体を巻き込んで実施したこのイベント。
参加者のみなさんをまず出迎えたのは、アーケードにはためく「ハタチの祝辞」です。総勢12名の社会人から、ハタチ世代に向けて熱のこもったメッセージが贈られました。
「ハタチの祝辞」は2/10~2/28まで掲示
祝辞でいっぱいのアーケードを抜けた先にある「ハタチの階段」は、ミニワークを通じて、マイテーマ(=今、興味があって探究したい問い)を言語化するエリア。マイテーマワークに参加してくれた方に、次世代のクラフトコーラ「OFF COLA」をプレゼントする企画です。
この企画には、ハタチだけでなく、大学生・高校生80名と社会人52名、総勢132名の方が参加。それぞれが書き上げたマイテーマで階段が埋め尽くされました。
「ハタチの階段」は2/10~2/28まで掲示
TSUTAYA BOOKSTORE 下北沢では、7人のロールモデルが選書した「ハタチの教科書」を紹介。これから自分らしい未来を描いていこうとしているハタチに向けて「今、読むべき1冊」を選んでいただきました。
選ばれた本は「出版甲子園」の学生が実際に読み、「どんな学生に読んでほしいか」「おすすめしたいポイント」など、「ハタチの感想文」をPOPに書いて掲示しました。
「ハタチの教科書」は2/13~2/17まで掲示
さらに進むと、学生団体による「ハタチの妄想」コーナーに到着。「同世代と一緒に未来を考える場所」として設けられたこの空間では、志を持って活動している3つの学生団体が展示を行いました。
イベントやフリーマガジンを通して“世界の今”を伝える国際問題啓発団体「S.A.L.」、ファッションの持続可能性について情報発信を行う「ReThink Fashion Waseda」、いろんな人の生き方の軸(=モノサシ)を集めるwebメディア「MONOSASHI」。それぞれ活動内容を紹介しながら、参加者に「問い」を投げかけます。
「今一番、『学ぶきっかけが欲しい』と思うテーマは?」「誰かを笑顔にするために、あなたが今後行動したい『小さなアクション』は?」「自分が大切にしたい『モノサシ』は?」──。
そんな問いをきっかけに言葉を交わしながら、参加者は「自分が選び取りたい未来」について考えていきました。
12時からはいよいよ、ロールモデルや仲間と語り合うメインコンテンツが開演。約60名の20歳(大学2年生)のみなさんがBROOKLIN ROASTING COMPANYに続々と集まり、ウェルカムドリンクを片手に席を埋めていきます。
1.アイスブレイク
まずは、同じテーブルに座った参加者同士で自己紹介。「働く」ということに対して抱いているイメージや、このイベントで何を知りたいか、といったことも併せて話してもらいました。
はじめは緊張した様子だった参加者も、同世代の仲間と言葉を交わすことで打ち解けた雰囲気になっていきます。
2.ロールモデル対談①「何をやるか」vs「誰とやるか」
ひとつめのロールモデル対談では、神山まるごと高専のクリエイティブディレクターを務める村山海優さんと、株式会社心電の代表取締役 郡司淳史さんにお話を伺いました。
トークテーマは「何をやるか」vs「誰とやるか」。
「何をやるか」を意識して働く郡司さんからは、会社員として働いていたときに「このままでいいのか」「自分の時間を何に使うべきか」と考えたことが現在につながっているというお話がありました。
「誰とやるか」の価値を語る村山さんからは、神山まるごと高専に関わるきっかけとなった方との出会いや、自分と異なる価値観を持つ人と一緒に働くことの面白さについてお話しいただきました。
学生からの質問セッションでは、「どうして働く目的を『お金』にしないのか」「転職するのは怖くなかったのか」といった率直な質問が飛び出します。郡司さんと村山さんからは、お金以上に大切にしている価値観や、転職や起業当時の心境について回答をいただきました。
ハタチ世代が「働くこと」に対して抱く不安や疑問。登壇者のお二人もそれに共感しながら真摯にお話しいただき、充実したセッションとなりました。
3.ロールモデル対談②「好きを仕事に」vs「得意を仕事に」
「好き」と「得意」、どちらを仕事選びの軸にするのか。ふたつめのロールモデル対談では、株式会社YOLO代表の山崎大輝さんと株式会社YOAKEのPMである小西由起さんに、こちらのテーマについて語っていただきました。
お二人からは、「好き」と「得意」は表裏一体であり、両方を行き来しながら自分のキャリアが形成されていくものだというお話がありました。
その中でも、「好き」を軸に仕事を見つけた山崎さんが話してくださったのは「自分以上に何かが得意な人はたくさんいるから、自信を持つのが難しかった。でも“好き”を掛け合わせることによって自分の道を見つけることができた」というエピソード。
「得意」な領域で活躍する小西さんからは、「得意なことは、自分ひとりでは見つけられない。周りから評価してもらって初めて気づくことができるからこそ、働くフィールド選びは大事」というお話がありました。
学生からの質問セッションで出てきたのは、「仕事だけではなく人生全体で見たときに、何が好きか」「働かなくても生きていけるくらいのお金が手に入っても、仕事を続けるのか」といった問い。
キャリアだけではなく人生全体に通じる「好き」や「得意」といったテーマについて、そしてさらには「なぜ働くのか」といった問いについて、参加者と登壇者で共に考える時間となりました。
4.ロールモデルと語る座談会「#ハッシュタグトーク」
続いて、よりパーソナルな質問や相談をする場として、社会人と学生参加者の座談会を行ないました。
ロールモデル対談にご登壇いただいた4名に加え、Michikusa株式会社の代表取締役 臼井拓水さん、株式会社TSUKURUBAの新卒採用担当 佐藤諒さんにお越しいただき、各テーブルに分かれてざっくばらんに話をしていきます。
「大学は親の評価を気にして意思決定したが、大学生活を過ごす中でその意思決定が本当によかったのか、葛藤している。就職においては何を大事にするべきか?」
「周りの目を気にせずに自分らしい意思決定をするにはどうしたらいいか?」
そんな葛藤を正直に吐露する学生の姿からは、“自分の人生のハンドルは自分で握りたい”という想いがにじみ出ていました。
ときに笑い、ときに真剣な表情になりながら、終了時間を迎えても話が尽きないほど濃密な対話を行った学生と社会人のみなさん。
座談会を終えた参加者は、「生き生きと働いている人たちを見て、好きなことを見つけたいと思った」「たくさんの選択肢があることが分かり、もっと調べてみたいと思った」と語っていました。
5.未来を描く「マイテーマ」ワーク
さまざまなロールモデルの話を聞いた後は、参加者自身の「マイテーマ」を考えます。
年功序列を前提とした従来のキャリア形成は、遠い未来に目標を立て、逆算して行動していくことが可能でした。しかし、変化の激しい現代においては、「興味があって深めてみたいこと」をマイテーマとして定め、短いスパンで見直しをしながら臨機応変に行動していくやり方のほうが適しています。
「今やるべき大事なことは、就活の準備だけ?」「自分の得意なことを見つけるには、何から始めればいい?」「どうやったら理想の状態に近づけるのだろう?」
参加者は今日の出会いや会話を思い返しながら、自分の中にある問いと向き合います。すぐにペンが動いた人も、悩んで相談しながら決めた人も、思い思いのマイテーマを書いてボードに貼っていきました。
最後に、『ハタチの日』プロジェクト代表の藤原佳奈より「幸せにはいろんな形があり、変わっていくもの。どんな風に生きていきたいか、自分にとっての幸せとは何か、問い続けていってほしい」とメッセージを贈り、イベントは幕を閉じました。
編集後記
本イベント『ハタチの日』は、20歳という節目を迎えた学生たちに「未来を考えるきっかけ」を提供したいという思いのもと準備を進めてきました。同世代の仲間やロールモデルのみなさんとの対話を通じて、なにか一つでも、自分の未来を描くヒントを持ち帰っていただけていれば幸いです。
開催にあたり実施したクラウドファンディングでは、74名の方から100万円を超えるご支援をいただきました。たくさんの社会人の方々が「ハタチの日」を一緒に作り上げてくださったこと、心より感謝申し上げます。
Original Pointは、今後も「自分を知る」「社会を知る」きっかけを提供することで、自分らしいキャリアを選択できる学生を増やす活動を続けていきます。
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Mizuki Muraoka
村岡 瑞妃
大学卒業後、1年間東京都の小学校教員として担任を務める。その後、エン・ジャパン(株)に転職し企業の採用支援や評価・教育研修サービスの提案営業を行う。現在は、Original Pointへ参画し、大学キャリア教育や新卒採用領域の事業推進に携わっている。